▸ 経営の知恵

田んぼ一反で米は何俵?約500kg・8俵と10俵の差の正体

— 更新:


田んぼ一反で米は何俵?約500kg・8俵と10俵の差の正体
📑 目次

※本記事はプロモーションを含みます。

畜産資材の代理店営業を13年やって、庭先から農家を見てきた男です

先に正直に言っておくと、僕は稲を作ったことがありません

僕の側から見た田んぼは、稲わらの出どころでした

だから稲作の作業を語る資格はない。でも、数字を並べて読むのは営業の仕事です!

・「一反の田んぼって、米が何キロ取れるの?」

・「8俵って人と10俵って人がいるけど、どっちが本当?」

・「実家の田んぼを継いだら、いくら残るの?」

今回はこの3つに、農林水産省の統計だけで答えます

・一反で取れる米の量と、その数字が動く理由

・一反の売上と、そこから引かれるものの内訳

・手元に残る額と、投じる時間

・作付規模で結果がどう変わるか

先に結論。一反は約500kg、残るのは約8万円

田んぼ一反(10アール)の答え

① 取れる米は玄米で約500kg(8.3俵)。令和7年産の作物統計だと全国の10アール当たり収量は526kg。令和6年産の米生産費統計(実際に販売した経営体の数字)だと500kg

② ただし「ふるいの目」で449〜547kgに動く。同じ令和7年産でも、目幅1.70mmで選別すれば547kg、2.00mmなら449kg。約100kgの差がここで出る

③ 売上(粗収益)は10アール当たり172,765円。ここから、生産費総額136,858円のうち家族労働費・自己資本利子・自作地地代を除いた91,934円を引いて、所得は80,831円(令和6年産・全国平均)。※農水省の所得はこの引き方で計算します

④ 小さい田んぼほど、この式は成り立たない。作付0.5ha未満の階層は、粗収益150,578円に対して生産費総額213,071円。10アール当たりの家族労働報酬は2,182円まで沈む

⚠️ 本記事の数字は2026年9月6日に農林水産省の統計表を開いて確認したものです。年産・統計・母集団が違う数字を混ぜると答えがずれるので、どこから引いたかを毎回明記しています。実際の経営判断は、ご自身の田んぼの数字とお近くの普及指導センター・JAでご確認ください。

一反はどれくらいの広さか。まず土台をそろえる

数字の話に入る前に、単位をそろえておきます

農林水産省の食育事業でつくられた教材に、そのままの表が載っています

単位ヘクタールアール平方メートル坪
1畝(せ)約0.01ha約1a約100㎡30坪
1反(たん)0.1ha10a1,000㎡300坪
1町(ちょう)1ha100a10,000㎡3,000坪

1坪は畳2枚分(約3.3㎡)です

つまり一反=10アール=1,000㎡=300坪=畳600枚分

農林水産省の統計はすべて「10アール当たり」で書かれています。だから「一反当たり」と読み替えれば、そのまま使えます

⚠️ ここは自分では裏が取れませんでした

「尺貫法の一反は300歩=約991.7㎡で、10アール(1,000㎡)とは約8㎡違う」という説明が広く流通しています。ただし、この換算値の法令上の根拠を私は確認できませんでした

統計も登記も面積は平方メートルで書かれるので、実務では上の表のとおり「一反=1,000㎡」で読んで差し支えありません

牛飼い君
一反って、田んぼの単位なんだと思ってた。
牛飼い君
さんぼう君
さんぼう君
畑でも同じ単位を使うよ。ただ、統計が10アール単位で整っているのは米が一番なんだ。だから「一反いくら」の話は、米がいちばん正確に答えられる

令和7年産の実数。全国526kg、いちばん多いのは東北

農林水産省「作物統計調査 令和7年産水陸稲の収穫量」の確報から引きます

・10アール当たり収量 526kg(前年産+7kg・101%)

・作付面積(主食用) 136万7,000ha(前年産+10万8,000ha・109%)

・収穫量(主食用・生産者ふるい上米) 718万1,000t

地域でこれだけ差があります

地域10アール当たり収量
東北557kg
北海道549kg
関東・東山524kg
中国519kg
北陸517kg
近畿507kg
四国495kg
九州492kg
東海490kg
沖縄311kg

県別ではもっと開きます。長野612kg、青森596kg、山形585kg、秋田559kgに対して、埼玉464kg、東京408kg

同じ「一反」でも、青森と東京で188kg=約3俵ちがう。

だから「一反は何キロ?」の答えは、本来「どこの一反か」とセットです!

(PR) 500kgという量を、手で持てる単位に置き換えてみる

玄米500kgは、農家がよく使う30kg袋で約16.7袋。軽トラの荷台に積み上げると、ちょうど山ができる量です。その30kg袋が小売でいくらの値札をつけているかを一度見ておくと、このあとに出てくる「主産物の売上168,019円(副産物を足した粗収益は172,765円)」という数字の位置がはっきりします。もちろん小売の値段は農家の手取りではありません。その落差こそが、この記事の後半で扱うテーマです。

Amazonで玄米30kgの価格帯を見る

Amazonの検索結果ページが開きます。価格・在庫は変動します

「8俵」と「10俵」で話が食い違う理由は、ふるいの目にある

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです

米は収穫したあと、金網のふるいにかけて小さい粒を落とします。その網の目の幅を何ミリにするかで、同じ田んぼの収量が変わる

農林水産省は、同じ令和7年産について、ふるい目幅ごとの10アール当たり収量を公表しています

ふるい目幅全国の10アール当たり収量俵に直すと
1.70mm以上547kg約9.1俵
1.75mm以上543kg約9.1俵
1.80mm以上537kg約9.0俵
1.85mm以上529kg約8.8俵
1.90mm以上515kg約8.6俵
2.00mm以上449kg約7.5俵

※俵換算は1俵60kgとした筆者の計算

上下で98kgの差。1.6俵分です

田んぼも品種も天気も同じ。変わったのは網の目だけ

📊 「うちは8俵」「うちは9俵」は、たいてい両方正しい

使っているふるいが違うだけ、という場合がかなりある。数字を比べるときは「目幅は何ミリですか」を先に聞く。これで話がかみ合います

県によって、通す網が違う

農林水産省は、収量を計算するときに使う「生産者ふるい目幅」を都道府県ごとに定めています。範囲は1.80mm〜1.90mmです

令和8年産の算出に使う目幅は、こうなっています(1.90mmは全県、それ以外は抜粋)。なお目幅は3年据え置き・3年ごとの見直しなので、上の令和7年産526kgの算出に使われた表とは別物の可能性があります

・1.90mm 北海道・青森・岩手・宮城・秋田・山形・富山・石川・福井・島根・滋賀

・1.85mm 福島・茨城・栃木・新潟・山梨・長野・京都・兵庫・鳥取・岡山・福岡・佐賀・熊本・大分

・1.80mm 東京・神奈川・岐阜・大阪・奈良・和歌山・香川・愛媛・高知・長崎・宮崎

この目幅は3年間据え置き、3年ごとに見直されます

秋田の8俵と高知の8俵は、違う網を通った8俵。

産地をまたいで単収を比べるときは、ここを知らないと足をすくわれます!

そもそも統計が1.70mmを基準にしている理由

農林水産省の説明はこうです。昭和31年から1.70mmを使ってきた理由として、次の2点を挙げています

「(ア)食べられること(炊飯時に砕けることなく粒として炊き上がる)」

「(イ)実際に食べていること(生産者のふるい目から落ちた玄米も米穀事業者等の手で再度ふるわれ、主食用米等として流通)」

——農林水産省「作況調査(水陸稲)調査の概要」

そして令和7年産から、生産現場の認識に合わせてふるい目を見直し、「収穫量(主食用(生産者ふるい上米))」を新たに公表することになりました

つまり国の側も、「1.70mmで測った量」と「農家が実際にふるって残る量」がずれることを認めて、両方出すようにした。この記事で526kgと547kgが同時に出てくるのは、そのためです

収量はどうやって測っているのか

作況標本筆で稲を刈り取り、脱穀・乾燥・もみすりをして、農産物規格規程の三等以上に相当するよう選別する

そこで1.70mm以上と、その県の生産者ふるい目幅以上の10アール当たり玄米重を決める

さらにコンバインのロス率(機械で刈るときに落ちる分)を掛けて、10アール当たり収量にします

手刈りで測った数字をそのまま出しているわけではありません。ここは丁寧な作りです!

一反の米は、何人分になるか

これはよく聞かれる質問ですが、よく見かける計算にはずれがあります

農林水産省「令和7年度食料需給表(概算値)」の米の欄を見ます

・粗食料 1人1年当たり58.6kg(=玄米ベース)

・歩留り 88.8%(玄米から精米になるときに減る分)

・純食料 1人1年当たり52.0kg(=精米ベース)

一反で取れる500kgは玄米の量です

だから「500 ÷ 52 = 約9.6人分」という計算は、玄米と精米を混ぜている。ここでずれます

正しくは、玄米は玄米どうしで割ります

一反=およそ8.5人分の1年分

玄米500kg ÷ 1人1年58.6kg = 約8.5人分(流通の減耗や種子用・加工用を差し引く前の概算)

別の道からも同じ答えになります。500kg × 88.8% = 精米444kg。444 ÷ 52.0kg = 約8.5人分

菓子や穀粉を除いた「主食のごはんだけ」で数えると、1人1年の純食料は50.2kgなので約8.8人分

※人数の計算は、食料需給表の公表値を使った筆者の計算です

ちなみに1人1日当たりの純食料は約142g(52kgを365日で割った値)。茶碗にすると2杯強という量です

牛飼い君
10人分って書いてるサイト、けっこう見たけどなあ。
牛飼い君
さんぼう君
さんぼう君
玄米500kgを、精米ベースの52kgで割ってしまうと1割ほど多く出てしまうんだ。単位をそろえるだけで答えが変わる。数字の仕事は、だいたいここでつまずくよ

一反の売上は172,765円。ただし米の値段の話とは別物

ここからは農林水産省「農業経営統計調査 令和6年産米生産費(個別経営体)」に切り替えます

集計は727経営体。1経営体あたりの水稲作付地は189.1アール(=約1.9ha)です

・10アール当たり主産物数量 500kg

・粗収益 172,765円(主産物168,019円+副産物4,746円)

・60kg当たり粗収益 20,686円(うち主産物20,118円)

・経営所得安定対策等の受取金 2,160円

副産物の4,746円というのは、僕にとって身近な数字でした。稲わらの世界です。畜産の側では飼料にも敷料にも使う。田んぼの外にも出口があるという、数少ない項目です

⚠️ ニュースで見る「米の値段」と、この数字を足し算しない

よく報道される相対取引価格(令和7年産米の令和8年7月分は全銘柄平均32,486円/玄米60kg)は、集荷業者・団体と卸売業者の間の取引価格です

農林水産省の定義でも「相対取引契約の価格(運賃、包装代、消費税を含む1等米の価格)を加重平均したもの」。農家の手取りではありません。農家側の売上は、上の粗収益で見るのが筋です

米の値段そのものの動きは、米価下落で「令和の米騒動」は終わるのかにまとめてあります。概算金の話もそちらです

172,765円から、何が引かれるのか

生産費総額は10アール当たり136,858円

内訳を大きい順に並べます

費目10アール当たり中身
労働費34,665円家族31,615円+雇用3,050円
農機具費26,223円うち償却費17,858円・修繕費等8,365円
賃借料及び料金11,897円作業委託・機械借上げなど
肥料費10,977円
農業薬剤費8,412円
自作地地代8,140円自分の土地でも費用に算入する
光熱動力費5,845円
支払地代5,630円
自己資本利子5,169円
種苗費4,108円
土地改良及び水利費3,953円
建物費3,646円
自動車費3,572円
その他の諸材料費2,105円
物件税及び公課諸負担1,848円
生産管理費493円
支払利子175円

物財費の合計は83,079円。ここに労働費34,665円を足して費用合計117,744円

副産物の4,746円を差し引き、支払利子・地代・自己資本利子・自作地地代を足し込むと、全算入生産費132,112円(60kg当たり15,814円)になります

最大の物財費は農機具費26,223円。しかもその7割近くが償却費です。

現金が出ていく感覚がない費用が、いちばん重い。ここが米の生産費のいちばんの特徴です!

この「自分の労働も償却も全部足して原価とみなす」考え方は、畜産でも同じです。中身は子牛の生産原価は本当に83万円か──全算入生産費の中身を解剖するで詳しく分解しています

そして償却費の元になっているのは、納屋にある機械です。使っていない機械が原価に乗り続けている状態を整理したい方は、コンバインの買取と処分。年20日しか動かさない機械を、値がつくうちに手放す判断とトラクター買取の相場は?20万〜100万円が中心をどうぞ

手元に残るのは80,831円。ただし読み方に注意がいる

統計は「残る額」を2つ出しています

10アール当たり・令和6年産・全国平均

所得 80,831円(1日当たり33,610円)
粗収益から、生産費総額のうち家族労働費・自己資本利子・自作地地代を除いた分を引いた額

家族労働報酬 67,522円(1日当たり28,076円)
そこからさらに自己資本利子と自作地地代も引いた額

参考:粗収益172,765円から全算入生産費132,112円を全部引くと40,653円(筆者の計算)

所得80,831円は、自分の労働に対する報酬を含んだ額です。「働いた分の給料込みで8万円」という意味になります

「1日当たり33,610円」に飛びついてはいけない

日当3万円超と聞くと、ずいぶん良く見えます

からくりは労働時間にあります

・10アール当たりの労働時間 21.26時間(家族19.24時間+雇用2.02時間)

・家族の19.24時間を8時間労働に換算すると2.4日。80,831円 ÷ 19.24時間 × 8 = 33,610円(公表値と一致)

つまり一反にかける家族の作業は、年間で丸2日半ほど。日当が大きく見えるのは、投じた日数が少ないことの裏返しです

一反だけを2日半やって8万円、という読み方が正しい。月給に化けるわけではありません

作業別の直接労働時間(10アール当たり)はこうなっています

作業時間
管理(水管理など)5.38時間
耕起整地3.10時間
刈取脱穀2.61時間
田植2.53時間
育苗2.48時間
乾燥1.28時間
除草0.97時間
基肥0.69時間
防除0.50時間
生産管理0.37時間
種子予措0.24時間
追肥0.20時間

いちばん長いのが「管理」。水を見る時間です

機械が代わってくれない作業が、いちばん時間を食っている。

作業期間は田植が平均6日、収穫が10.9日。この2週間ちょっとに人手が集中します!

⚠️ 令和6年産という「年」を忘れない

令和6年産は米の値段が大きく動いた時期の年産です。この所得80,831円はその1年分の平均であって、毎年こうなるという意味ではありません。米は年産で収入が動く作物です

一反だけなら、作るほど持ち出しになる

ここが、この記事の山場です

同じ統計に、作付規模別の表があります。10アール当たりの数字で並べます

作付規模収量粗収益生産費総額所得家族労働報酬労働時間
平均500kg172,765円136,858円80,831円67,522円21.26時間
0.5ha未満464kg150,578円213,071円22,218円2,182円41.84時間
0.5〜1.0ha475kg158,652円178,709円47,794円30,873円32.88時間
1.0〜3.0ha496kg170,138円150,895円71,794円55,039円23.94時間
3.0ha以上512kg178,761円115,566円96,666円86,115円15.84時間

読み方を3つ挙げます

① 0.5ha未満は、粗収益150,578円に対して生産費総額213,071円。差は62,493円のマイナス(筆者の計算)

② 同じ階層の家族労働報酬は10アール当たり2,182円。1日当たりだと436円

③ 10アール当たりの労働時間は、0.5ha未満が41.84時間、3.0ha以上が15.84時間。2.6倍の開き

収量そのものは464kgと512kgで、1割ほどしか違いません

差がついているのは費用と時間の側です。田植機もコンバインも乾燥機も、一反に使っても3町に使っても、買った値段は変わらない。分母だけが違う

牛飼い君
じゃあ実家の一反の田んぼって、続けたら赤字ってこと?
牛飼い君
さんぼう君
さんぼう君
機械を自分で全部そろえて、自分の労働も費用として数えたらね。逆に言えば、機械を持たない・作業を頼む・自分の時間を数えないなら、話はまったく変わってくるんだ

⚠️ ここも留保をつけておきます

この統計の一番下の階層は「0.5ha未満」で、一反(0.1ha)だけを作っている人の統計は公表されていません。0.5ha未満の平均作付地は35.7アール。しかもこの統計の調査対象は「玄米を年間600kg以上販売する経営」なので、一反(約500kg)だけの経営はそもそも母集団に入りません。つまり本当に一反だけなら、上の表よりさらに条件は厳しくなる可能性が高い、というところまでしか言えません

規模の話をもっと現実的に考えたい方は、脱サラ農業はやめとけ?現実と後悔しない人の条件も読んでおくと、判断の軸が増えます

借りるなら、貸すなら。地代の目安

同じ統計に、作付地の実勢地代が載っています

区分10アール当たり実勢地代
全国平均12,746円
うち自作地12,772円
うち小作地12,713円
0.5ha未満10,014円
0.5〜1.0ha10,203円
1.0〜3.0ha12,294円
3.0ha以上13,735円

一反を1年借りる目安は、統計上はおおむね1万円台前半。ただしこれは自作地も含めた統計上の評価額(実勢地代)で、実際の契約賃料とは別物です。地域の実額は農業委員会が公表する賃借料情報で確かめてください。

面白いのは、規模が大きい経営体ほど地代が高いことです。条件の良い区画に集まっている、と読めます

実際に借りる手順は農地を個人で借りるには?3つのルートと賃料相場にまとめてあります

🚜 使わなくなった農機具は、田んぼの答えを出す前に値段を知っておく(PR)

受け継ぐにしても手放すにしても、納屋のトラクターやコンバインの相場が分かると計算が一段はっきりする。処分費を払う前に、買取の見積もりを先に取っておくのが順番だ。

30秒で最大5社ラクラク見積【農機具買取査定君】

無料・最短30秒の入力で、最大5社から見積もりの連絡が届きます。サイトの使い方の問い合わせは24時間365日受付(フリーダイヤル)

田んぼを受け継ぐ人が、先に確かめる3つ

僕は稲を作ったことがないので、作業のコツは書けません

ただ、庭先で機械と数字を見てきた側から言えることが3つあります

① 納屋の機械が、あと何年動くか

生産費で最大の物財費は農機具費26,223円、うち償却費17,858円

受け継ぐ田んぼに付いてくる機械の年式と、次の更新までの残り年数。これを先に数えると、向こう5年の費用が見えます

まだ値がつくうちに整理するという選択もあります。実家の農機具、どうする?納屋のトラクターを後悔なく手放す手順にまとめました

② 面積を増やせる見込みがあるか

規模別の表が示しているのは、米は面積で結果が変わるということです

近所に借りられる田んぼがあるか。地域の話し合いで集まる見込みがあるか。ここが立てば、10アール当たりの費用は下がっていきます

逆に増やせないなら、作業を委託する側に回るという判断もあります。生産費の「賃借料及び料金」11,897円は、その道を選んだ人の数字です

③ 乾燥調製をどうするか

刈取脱穀2.61時間に対して、乾燥は1.28時間。生産費の乾燥機は、10経営体当たり循環式が6.1台

自前で乾燥まで持つのか、カントリーエレベーターに出すのか。ここは機械投資が一段大きくなる分岐です

米の経営は、収量より先に「機械をどこまで持つか」で決まる。

僕が資材を売っていた頃も、うまく回っている庭先ほど、機械の台数が少なかった気がします!

品目そのものを迷っている段階なら、畜産・野菜・米。新規就農で選ぶべき農業はどれか?で横に並べています

一反の米にまつわる、よくある質問

Q. 一反で米は何キロ取れますか?

玄米で約500kgです。令和7年産の作物統計だと全国の10アール当たり収量は526kg。令和6年産の米生産費統計(実際に販売した経営体の数字)では500kg。どちらも「一反あたり」と読み替えて構いません。ただし選別に使うふるい目幅で449〜547kgまで動くので、単独の数字より幅で覚えるほうが実用的です。

Q. 一反は何坪、何平方メートルですか?

1,000㎡=10アール=0.1ヘクタール=300坪です。1坪は畳2枚分(約3.3㎡)なので、畳600枚分。農林水産省の統計はすべて10アール単位なので、そのまま一反として読めます。なお「尺貫法の一反は約991.7㎡」という説明も広く流通していますが、その換算値の法令上の根拠は私には確認できませんでした。

Q. 一反の田んぼで、何人分の米がとれますか?

およそ8.5人分の1年分です。令和7年度食料需給表の米の粗食料は1人1年当たり58.6kg(玄米ベース)。500 ÷ 58.6 で約8.5人分になります。「500 ÷ 52 = 約9.6人分」という計算をよく見かけますが、52kgは精米ベースの純食料なので、玄米の500kgと直接は割れません。菓子や穀粉を除いた主食用だけで数えると約8.8人分です。

Q. 一反の米の収入と利益はいくらですか?

粗収益172,765円、所得80,831円です(令和6年産・10アール当たり・全国平均)。所得は自分の労働に対する報酬を含んだ額で、そこから自己資本利子と自作地地代も引いた家族労働報酬は67,522円。粗収益から全算入生産費132,112円をまるごと引くと40,653円(筆者の計算)。どの線で引くかで額が変わるので、比較するときは同じ定義かを確かめてください。

Q. 一反で米作りにかかる費用はいくらですか?

生産費総額136,858円、全算入生産費132,112円です(10アール当たり)。内訳の上位は労働費34,665円、農機具費26,223円、賃借料及び料金11,897円、肥料費10,977円、農業薬剤費8,412円。農機具費の7割近くが償却費で、現金が出ていく実感のない費用が重いのが米の特徴です。

Q. 一反から、もみは何キロ取れますか?

公的な統計では答えられませんでした。農林水産省の作物統計も米生産費統計も、公表しているのは玄米ベースの数字だけです。「もみの重さの約8割が玄米」という換算はよく使われますが、この係数を農林水産省の一次資料で確認することは私にはできませんでした。もみベースの数字が必要なら、地域の普及指導センターやJAの実測値に当たるのが確実です。

Q. 一反で何俵ですか。8俵ですか、10俵ですか?

500kgなら8.3俵、526kgなら8.8俵です(1俵60kg換算・筆者の計算)。ふるい目幅1.70mmで測れば547kg=約9.1俵、2.00mmなら449kg=約7.5俵。「8俵」も「9俵」も、どの目幅で測ったかが違うだけで両方成り立ちます。10俵(600kg)となると全国平均を大きく上回るので、条件の良い産地・ほ場の話になります。

Q. 3000坪(一町)の田んぼだと、米はどれくらい取れますか?

一町は十反(約3,000坪・1ヘクタール)なので、令和7年産の全国10アール当たり収量526kgをそのまま10倍すると約5,260kg(約88俵)が目安です。ただし本文のとおり、ふるいの目と地域で1反あたり100kg前後は動きます。

Q. 田んぼ一反の賃料はいくらですか?

10アール当たり12,746円が全国平均の実勢地代です(令和6年産米生産費)。作付規模別だと0.5ha未満で10,014円、3.0ha以上で13,735円。地域差・条件差が大きいので、実際は農業委員会や農地中間管理機構で地域の相場を確認してください。

まとめ:一反の答えは、数字の出どころで変わる

・一反で取れる米は玄米で約500kg。作物統計の全国値は526kg

・ふるい目幅で449〜547kgまで動く。産地をまたいで比べるなら目幅を確認する

・一反はおよそ8.5人分の1年分。玄米と精米を混ぜて割らない

・粗収益172,765円、生産費総額136,858円、所得80,831円

・家族が投じる時間は10アール当たり19.24時間。日当が高く見えるのは日数が少ないから

・0.5ha未満は粗収益150,578円に対し生産費総額213,071円。米は面積で結果が変わる

・借りるなら10アール当たり12,746円が実勢地代の目安

一反という単位は、日本の田んぼの基本の一マスです

その一マスの中に、収量と、費用と、時間と、面積の効き方が全部入っている

一反の実りは、ふるいの目で決まる。

そして一反の採算は、面積で決まります!

数字を持ってから相談に行くと、話が早く進みます

マイペースにいきましょう

あわせて読みたい

🏮 さんぼう君の新鮮市場、開店中

数字の話のあとは、食べる棚です。和牛農家の息子で元・畜産代理店営業の大将が、現場の目利きで並べています。→ 市場をのぞいてみる

📚 参考・出典(8件・すべて2026年9月6日に統計表とページを開いて確認)

本記事の数値は、下記の一次情報から筆者が直接抜き出した。俵換算・人数換算・差額の計算は筆者によるもので、その旨を本文に明記している。統計は年産・母集団・定義が異なるため、異なる出典の数字を掛け合わせた試算は行っていない。相場・価格は変動する。実際の経営判断は、ご自身の数値と公的窓口での確認のうえで行ってほしい。

─ 産地直送・目利き保証 ─

🏮 さんぼう君の新鮮市場

現場を知る大将が「間違いない肉と野菜」だけを並べました。肉のふるさと納税・お取り寄せ・野菜定期便 →


─ さんぼう君よりひとこと ─

この記事は、和牛農家の息子としての経験と、飼料営業として全国の現場で見聞きしたことに基づいています。 個別の経営判断は、必ず担当の税理士・士業・JA・農業委員会等にご相談ください。

この記事を書いた人

さんぼう君

和牛繁殖農家・野菜農家の息子。実家の「売り先が限られている/やり方次第でもっと稼げるはず」 という課題を追ううちに、畜産・農業経営の知識を深く積み上げてきました。 現場で学んだ「リアルな農業経営」を、業界外の人にもわかる言葉でお伝えしています。

→ さんぼう君について詳しく