農地を個人で借りるには?賃料相場(田9,400円/10a)と窓口
— 更新:
📑 目次
※本記事はプロモーションを含みます。
農地は、農家の生まれでない個人でも借りられる。
道は3つ。①貸し手を自分で見つけて農業委員会の許可(農地法3条)を受ける、②農地バンク(農地中間管理機構)を通す、③市民農園を使う。
賃料の全国平均は、10a(1反)当たり年に田9,400円・畑7,900円(農林水産省「農地の移動と転用(農地の権利移動・借賃等調査)」令和5年の「借賃の水準」)。地域差が大きいので、借りたい市町村の農業委員会が出す「賃借料情報」で確かめる。
最初に行く窓口は、借りたい農地がある市町村の農業委員会。許可を受けない口約束の貸し借りは無効になる。
私は飼料と畜産資材の代理店営業を13年やり、実家も農業と畜産をやっている。
古い情報で動いて窓口で止まらないよう、いまの制度を整理する。
先に結論。個人が農地を借りる4原則
① 借りるルートは3つ。農地法3条の許可/農地バンク(農地中間管理機構)/市民農園。目的によって選ぶ道が変わる。
② 「利用権設定」はもう使えない。市町村が相対契約でつくっていた農用地利用集積計画は、2025年4月に廃止された。古い解説記事に注意。
③ 賃料の全国平均は10a(1反)で年に田9,400円・畑7,900円(令和5年)。田を買えば同じ広さで約103万円(令和7年)。借賃のおよそ110年分にあたる(年が違う数字どうしの目安)。
④ 自分で食べる分の野菜が目的なら、市民農園が最短。農地法の許可も要らず、年5千円未満の農園が約半数。遠回りしないでいい。
⚠️ 本記事は2026年10月12日時点で公開されている公的資料をもとにした一般的な整理です。農地制度の運用・申請の締切・要件は市町村ごとに異なり、変更されることもあります。実際の手続きは、必ず借りたい農地がある市町村の農業委員会でご確認ください。
農地は個人でも借りられる|借り方は3つ
借り方は、①農地法3条の許可、②農地バンク(農地中間管理機構)、③市民農園の3つだ。
目的で道が分かれる。
| ①農地法3条 | ②農地バンク | ③市民農園 | |
|---|---|---|---|
| 農地法の許可 | 必要 | 不要(促進計画で設定) | 不要(特例) |
| 相談先 | 農業委員会 | 市町村・農業委員会 | 市町村・農園の開設者 |
| 面積 | 制限なし(下限も撤廃) | 制限なし | 10a未満 |
| 期間 | 契約による | 機構と調整して決める(原則10年とする市もある) | 5年以内 |
| 費用の目安 | 全国平均で10a年に田9,400円・畑7,900円(令和5年)。市町村で大きく違う | 同左(出し手・受け手・機構の三者で協議) | 年5千円未満が約5割 |
| 営利目的 | 可 | 可 | 不可 |
| 向く人 | 地元に貸し手のあてがある人 | 本気で就農する人 | 自分で食べる分を作りたい人 |
農地の賃料相場|全国平均は10aで田9,400円・畑7,900円
農林水産省「農地の移動と転用(農地の権利移動・借賃等調査)」令和5年の「借賃の水準」では、全国で10a当たり田9,400円・畑7,900円(年額)だ。
県別では新潟県が田16,800円、埼玉県が田5,100円、岐阜県が田6,500円と開きがある。
これは参考の表で、集計の細かい決まりは表に書かれていない。
10a=1反=1,000㎡=約300坪だ。
田んぼ一反でどれくらい米が取れて、いくら残るのかは一反の米は何キロ・何俵?売上と手元に残る額にまとめている。
ただし、全国一律に決められた賃料の表は無い。
標準小作料の制度が廃止されたあと、いまは農地法第52条に基づき、各市町村の農業委員会が「農地の賃借料情報」として、実際に結ばれた契約の平均額・最高額・最低額を公表している。
相場を知るには、借りたい市町村の賃借料情報を見る。
| 市町村 | 田(10a・年額) | 畑(10a・年額) | データの時点 |
|---|---|---|---|
| 新潟県長岡市(市内全域) | 13,800円(30a未満の田)/18,300円(30〜50a)/20,000円(50a以上) | 5,300円 | 令和8年7月発行 |
| さいたま市(市全体) | 5,600円(最高21,500円・最低1,000円) | 8,200円(最高40,200円・最低4,000円) | 令和7年1〜12月に締結 |
| 岐阜県高山市(市全体) | 2,100円 | 4,000円 | 令和7年中に開始した貸借。無償の貸借を0円として算入しているため平均が低く出る(無償を集計から除くさいたま市とは単純比較できない) |
長岡市は、現物で払う分を、5月末現在のJAの仮払額(米60kg当たり33,000円)で金額に換算している。
その1。田の賃料は、区画が大きいほど高い。長岡市では30a未満の田は13,800円、50a以上の田は20,000円だ。
その2。米どころと都市近郊では、田と畑の高い・安いが逆転する。長岡は田13,800円に対して畑5,300円。さいたま市は田5,600円に対して畑8,200円。
その3。同じ市の中でも、地域によって10倍以上違う。高山市の田の平均は市全体で2,100円(無償を0円として算入した平均)だが、旧市町村ごとに見ると清見1,000円、上宝600円、高山3,000円、国府7,200円とばらつく。
高山市の公表資料には使用貸借(=無償)の筆数も載っている。
田では、有償の127筆に対して無償(使用貸借)が193筆(令和7年中)。
ただし無償には弱点がある(後述)。
買う場合はどうか。
一般社団法人全国農業会議所が2026年3月19日に公表した「令和7年田畑売買価格等に関する調査結果」によると、純農業地域(都市計画法の線引きをしていない市町村)の農用地区域の農地価格は、全国平均で中田103万1千円、中畑76万3千円(いずれも10a当たり)。1995年(平成7年)以降31年連続の下落で、ピークだった1994年(平成6年・中田200万2千円)と比べると48.5%下落している。
全国平均どうしで割ると、田の買値は借賃のおよそ110年分、畑はおよそ97年分にあたる(価格は令和7年、借賃は令和5年で年が違う)。
借りる畑で最初に要るのは、鍬・スコップ・手袋・如雨露といった基本の一式だ。
どこまで買うべきか迷ったら、はじめての畑棚|家庭菜園の道具は最初にどこまで買うかにまとめてある。
ルート①:最初に行くのは農業委員会|相談から契約までの5つの手順
貸してくれる人を自分で見つけ、農業委員会の許可をもらって契約する方法だ。
- 先に農業委員会へ相談する。その地域で借りられる条件を聞く。
- 貸し手を探す。空き家バンク、地域の区長・農会長、JA、農地バンクの窓口。
- 農地の素性を調べる。農林水産省のeMAFF農地ナビで農地台帳・農地地図を閲覧できる。地番・地目・面積のほか、権利の種類と存続期間、遊休農地かどうかも公表項目だ。
- 賃料を決める。賃借料情報を土台に当事者で話し合う。あくまで目安で、拘束力はない。契約は書面にする。農地法21条は、存続期間・借賃の額・支払条件などを書面で明らかにするよう定めている。
- 3条許可を申請する。さいたま市は毎月15日締切・標準処理期間30日、新潟県上越市は毎月10日締切としている。
締切を過ぎれば結論は翌月になる。作付けの時期から逆算して相談を始めたい。
許可を受けずにした貸し借りは、法律上「無効」だ。農地法第64条第1号により、無許可の貸借には3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が定められている。書面と許可で身を守ってほしい。
農家でなくても通る?農地法3条の許可で見られること
農地法3条の許可は、売買だけの話ではない。賃借権の設定も、使用貸借(無償で借りること)も、すべて同じ3条の許可の対象だ。許可で見られる点は、買う場合とほぼ同じだ。ただし借りる場合だけの例外が1つある(下で説明する)。
- 全部効率利用要件……所有している農地・借りている農地のすべてを効率的に耕作すること(農林水産省の資料は「機械や労働力等を適切に利用するための営農計画を持っていること」としている)
- 農作業常時従事要件……申請者や世帯員が農作業に常時従事すること(農林水産省の処理基準は、年間150日以上なら常時従事と認め、150日未満でも必要な農作業に従事していれば認めるとしている)
- 地域調和要件……周辺の農地利用に支障を与えないこと(農林水産省の資料は、水利調整に参加しない、無農薬栽培の取組が行われている地域で農薬を使用する、といった行為をしないことを例に挙げる)
一方で、2023年(令和5年)4月1日に、下限面積要件は廃止された。
かつては「取得後の農地面積が都府県で50a(5,000㎡)以上」といった最低ラインがあったが、制度ごと消えている。
借りる場合には例外がある。農地を適正に使わないときは契約を解除する、という条件を書面の契約に付ければ、常時従事の要件にかかわらず許可できると農地法3条3項が定めている。この場合は、地域の他の農業者との適切な役割分担の下に、継続的かつ安定的に農業経営を行うと見込まれることも条件になる。法律に規定はあるが、使えるかどうかは農業委員会の判断なので、相談のときに聞いてほしい。
| 農地を買う | 農地を借りる | |
|---|---|---|
| 農地法3条の許可 | 必要 | 同じく必要 |
| 許可の3要件 | 効率利用・常時従事・地域調和 | ほぼ同じ(貸借は解除条件つきの例外あり) |
| 初期費用 | 10a当たり100万円前後+登記費用 | 全国平均で10a当たり年に田9,400円・畑7,900円(令和5年)。市町村で大きく違う |
| 合わなかったとき | 売るのが難しい(買い手が減っている) | 農地バンク経由なら期間満了で終わる。3条許可の賃貸借は、更新しない通知をしなければ同じ条件で更新される(農地法17条)。やめるときの手続きは後述 |
| 固定資産税 | 自分が払う | 貸し手が払う |
| 向いている人 | 骨を埋める覚悟が決まっている人 | まず試したい人・移住したての人 |
農地価格が下がり続けている理由の第1位は、全国農業会議所の調査によれば「農地の買い手の減少や買い控え」(中田35.4%、中畑41.1%)だ。
だから個人が最初に取るべき選択は、まず借りることだと私は思っている。
ルート②:本気で就農するなら農地バンク(農地中間管理機構)
農地中間管理機構は、都道府県知事が県に一つだけ指定する法人で、所有者から農地を借り受け、担い手にまとめて貸し付ける。手続きの流れは、農林水産省のQ&Aによればこうなる。
- 農業委員会等が出し手・受け手の意向を確認する
- 市町村が地域計画(目標地図)を作成する
- 農地バンクが農用地利用集積等促進計画を作成する
- 都道府県知事が認可・公告する
- 農地を借り受ける
農地バンクが計画を作るとき、受け手が用意する書類として、Q&Aは①いま使っている農地の利用の状況、②耕作に必要な機械の所有の状況、③農作業に従事する人の数と配置の状況、④農業に関する法令の遵守の状況、⑤個人の場合は農作業への従事状況、を挙げている。
一部が不要になる場合もあるので、詳しくは農地バンクに確かめる。
利点は次のとおりだ。
- 農地法3条の許可がいらない。促進計画の公告によって権利が設定される
- 期間満了で契約が確実に終わる(法定更新がないため、貸し手・借り手ともに期間の見通しが立つ)
- 賃料の支払いが機構に一元化される。複数の地主から借りても振込は1本
- 貸し手側にもメリットがある。2026年4月以降、地域計画ごとに所有農地の全部を同一年に農地バンクへ貸し付けた場合、10年以上の期間で貸した農地の固定資産税が3年間半減される措置がある
賃料は出し手・受け手・機構の三者が協議して決める。
支払いの時期は機構ごとに扱いが異なる。
本当のカギは「目標地図に自分が載ること」
2023年の改正で、農林水産省の資料には「農地バンクは、公募を前提に事業を行ってきたことに替えて、地域計画の達成に資するよう事業を実施」と明記された。
農地を借りたい場合の相談先は市町村または農業委員会で、基本は市町村が作成した地域計画に位置付けられることだとされている。
農地バンクにも相談窓口が置かれている。
地域計画は随時変更が可能とされている。市町村の農政担当と農業委員会に、「地域計画に載せてもらうには何が要りますか」と聞くのが近道だ。
正直な注意点:バンクは「担い手向け」の色が濃い
国の説明では、農地バンクが貸す相手は「地域計画に位置付けられた者」だ。
公益財団法人えひめ農林漁業振興機構のように、認定農業者・認定新規就農者・集落営農法人等の地域農業の担い手を対象と案内しているところもある。「週末に野菜を作りたい人」に小さな畑を配る仕組みではない。
期間は、国のQ&Aでは10年以上でも10年未満でも機構と調整して決めるとされる。
千葉県四街道市のように「原則10年、短くても5年」と案内する市もある。
本気で就農するつもりなら、段取りは新規就農 完全ロードマップと定年後に農業を始めるには?年金+農業のリアルな収支と始め方に書いた。
ルート③:自分で食べる分なら市民農園
自分と家族が食べる野菜を作りたい。それが目的なら、市民農園が最短の答えだ。特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律(特定農地貸付法)により、次の3つをすべて満たす貸付けは、農地法の権利移動の許可を受けずに行える。
- 10アール未満の農地の貸付けで、相当数の者を対象として定型的な条件で行われること
- 営利を目的としない農作物の栽培のための貸付けであること
- 貸付期間が5年を超えないこと
10アールという線引きは、農林水産事務次官依命通知の中で「本来の農業を行う場合とそれ以外の場合との区切り」と説明されている。
農林水産省の市民農園開設状況調査によれば、2025年(令和7年)3月末時点で全国4,273農園・188,713区画・1,284ha。
開設主体は地方公共団体1,977、農業者1,433、企業・NPO等449、農協414。
特定農地貸付法によるものが3,679農園と大半を占める。
ブロック別では関東が2,263農園と全体の5割以上だ。
| 項目 | 実態 |
|---|---|
| 1区画の広さ | 50㎡未満が約8割、50〜100㎡未満が約2割 |
| 利用料 | 年間5千円未満が約5割、5千円〜1万円未満が約3割。無料の農園もある |
| 利用期間 | 2年未満が約6割、2年以上5年未満が約4割 |
| 募集の時期 | 利用開始の少し前、1〜3月に行われることが多い |
50㎡=約15坪。
料金の実額と、小屋つきで滞在できるクラインガルテンについては、市民農園の料金相場|クラインガルテンとの違いで整理している。
農園利用方式(いわゆる入園契約方式)という形もある。開設者である農家が自分で農業経営を行い、利用者はそこに入園して農作業を行う。農地の権利が動かないため、農地制度上の手続きが要らない。市民農園整備促進法に基づくものだけでも農業者による開設が167農園ある。
借りた区画の土がやせているときは、培養土や堆肥で補う。
何を植えるか迷ったら定年後の家庭菜園の始め方|プランター・道具と、初心者でも育てやすい野菜から選んでほしい。
しゃがむのがつらい人には高設栽培という手もある。
2025年4月に変わったこと|「利用権設定」は新規には使えない
かつて農地を借りる方法は、①農地法3条の許可と、②市町村が農業経営基盤強化促進法に基づいて作る農用地利用集積計画(いわゆる利用権設定)の2つだった。
その②が、2025年(令和7年)4月1日に廃止された。
農林水産省のQ&Aによれば、令和7年4月から農地の貸借は農地バンクを経由した方法に一本化され、農地法第3条許可による手法は引き続き利用可能である。
埼玉県嵐山町の案内も「現在の農業委員会による相対での農地の貸借制度が廃止となり、原則、『農地中間管理事業』を利用した貸借制度に一本化(統合)されます」と明記している。
背景には、2023年4月施行の改正農業経営基盤強化促進法がある。
市町村は2025年3月末までに「地域計画」を策定し、一筆ごとに10年後の耕作者を書き込んだ「目標地図」を作ることになった。
消えたもの/残ったもの(2025年4月)
消えた:市町村の農用地利用集積計画による相対の利用権設定。「利用権設定で借りる」という説明は、新規にはもう使えない(設定済みの利用権は契約期間の満了日まで有効)。
残った・増えた:①農地法3条の許可(従来どおり使える) ②農地バンクの農用地利用集積等促進計画(新しい主役)。個人が借りるルートは、この2本+市民農園の計3本になった。
やってはいけないこと|口約束・又貸し・無断転用・無償の弱点
① 口約束と、無許可の又貸し
許可を受けていない貸借は無効なので、代替わりや相続を機に返せと言われても、法的に主張できるものがない。
又貸し(転貸)にも注意したい。農地法3条の許可は賃借権や使用貸借による権利の設定・移転にもかかる。借りた農地を別の人に貸すのも、あらためて許可が要る。
② 無断で畑以外に使う
借りた農地を、許可を受けずに農地以外のものにする(無断転用)のは農地法4条の違反だ。
罰則は無許可の貸し借りと同じで、農地法第64条により3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が定められている。
農林水産省のQ&Aは、ハウスなどの農業用施設を建てる場合も、一般的に農地転用の許可が要るとしている。
建てる前に農業委員会に相談する。
③ 「タダで借りる」の弱点
農地の賃貸借は、農地法第18条によって解除・解約・更新拒絶に原則として許可が必要とされている。
新潟県の説明には「契約期限が到来しても両者による解約の合意がない限り、原則として賃貸借は解約されない」とある。
ところが使用貸借(無償)は、この解約制限の例外だ。
私は、少額でもきちんと賃料を払う契約を勧める。
④ 原状回復——建てたものは、自分で取り除く
農林水産省のQ&Aは、農地バンクを通じて借りた農地に農業用施設を設置する場合について、農地バンクの同意が要り(バンクは出し手の承諾を得て同意する)、契約が終われば自分が建てた施設を取り除いて元に戻す義務を負うのが一般的な取扱いだとしている。返すときのことまで含めて、初期投資を考える。
⑤ 水と道と、共同作業
農林水産省の資料は、3条許可で見られる点の例に「水利調整に参加しない」行為をしないことを挙げ、解除条件つきの貸借では、地域での役割分担の例に「集落での話し合いへの参加、農道や水路の維持活動への参画」を挙げている。契約前に「水はどこから来ますか」「共同作業は年に何回ありますか」と聞く。
草刈りは、借りた農地の最初の仕事になることが多い。
選び方は草刈り棚|刈払機の選び方と金属刃・ナイロンコードの使い分けに、地域とのつき合い方は定年帰農で失敗しないために|地域になじむ「3年」の心得にまとめてある。
住むところから考えるなら、農地付き空き家の探し方も読んでほしい。
よくある質問(FAQ)
Q. 農地は個人でも借りられますか?
借りられます。農地法3条の許可(農業委員会)を受けるか、農地中間管理機構(農地バンク)を通す必要があります。市民農園なら、利用者側に農地法の許可は要りません。
Q. 農家でなくても、資格がなくても借りられますか?
農業の資格は必要ありません。
問われるのは実際に耕すかどうかです。
ただし農地バンクのルートは、認定農業者・認定新規就農者といった地域の担い手を対象と案内している機構もあります。
Q. 「利用権設定」で借りたいのですが、今もできますか?
新規にはできません。農用地利用集積計画は2025年(令和7年)4月に廃止されました。設定済みの利用権は、契約期間の満了日まで有効です。
Q. 農地を借りる相場はいくらですか?
農林水産省の調査(令和5年「借賃の水準」)では、全国で10a当たり年に田9,400円・畑7,900円です。
全国一律に決められた表はなく、各市町村の農業委員会が「農地の賃借料情報」を公表しています。
無償の貸借を平均に入れるかどうかも市町村で異なるため、借りたい市町村の公表資料を確認してください。
Q. 週末だけ通う借り方でも、許可は下りますか?
農業委員会の判断によります。常時従事の目安は年間150日以上ですが、農林水産省の処理基準は、150日未満でも必要な農作業に従事していれば認めるとしています。貸借に限っては、解除条件つきの契約という道も農地法3条3項にあります。自分で食べる分だけなら、許可の要らない市民農園が早道です。
Q. 市民農園と、農地を借りるのは何が違いますか?
市民農園は10a未満・営利目的でない・5年以内という条件で、農地法の許可なしに貸し付けられる仕組みです。
農地を借りる(3条許可・農地バンク)のは農業を営むための権利設定で、売って収入を得ることもできます。
Q. どこに相談すればいいですか?
借りたい農地がある市町村の農業委員会です。農地バンク経由を考える場合も、市町村または農業委員会への相談が案内されています。
まとめ──買う前に、借りてみる
- 借りるときも農地法3条の許可が要る。「利用権設定」は2025年4月に廃止され、ルートは3つになった
- 賃料の全国平均は10aで年に田9,400円・畑7,900円(令和5年)。借りたい市町村の相場は農業委員会の賃借料情報で確認する。自分で食べる野菜が目的なら市民農園が最短
- やってはいけないのは口約束・又貸し・無断転用。無償貸借の弱点・原状回復・水と共同作業にも気をつける
探す側は、役所の窓口に顔を出し、名前と目的を伝えておく。
焦らなくていい。
市民農園で1年やってみて、それでも足りなければ1反を借りればいい。
まずは借りたい市町村の「農地 賃借料情報」を見てみてほしい。
そこから先は、マイペースでいい。
参考・出典
すべて2026年10月12日にアクセスして内容を確認した。
- 農林水産省「農地中間管理機構に関するよくあるご質問」 https://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/kikou/shitumon.html ― 令和7年4月からの農地バンク経由への一本化と3条許可の存続、借受手続きの5段階、賃料は三者協議、農業用施設の同意と原状回復・農地転用の許可、相談窓口、受け手が用意する書類、貸付期間、固定資産税の特例
- 農林水産省「農地中間管理機構」 https://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/kikou/nouchibank.html ― 機構の定義、地域計画に基づく借受・貸付
- 農林水産省 経営局「農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律について」(令和5年8月) https://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/attach/pdf/chiiki_keikaku-50.pdf ― 令和5年4月1日施行、地域計画は令和7年3月末までに策定、目標地図、公募前提から地域計画重視への転換、農用地利用集積等促進計画への統合
- 埼玉県嵐山町「令和7年4月から、農地の貸借が『農地中間管理事業』に一本化されます!」 https://www.town.ranzan.saitama.jp/0000007482.html ― 相対の貸借制度の廃止と3条許可の存続
- 千葉県四街道市「農地の貸借方法が変わります」 https://www.city.yotsukaido.chiba.jp/shisei/jigyoshamuke/nourinngyou/tyuukannkannri.html ― 令和7年4月1日以降の運用
- 一般社団法人全国農業会議所「令和7年田畑売買価格等に関する調査結果(要旨)」(令和8年3月19日公表) https://www.nca.or.jp/upload/denpata_r7_youshi.pdf ― 純農業地域の中田103万1千円・中畑76万3千円(10a当たり)、31年連続下落、下落要因は買い手の減少(中田35.4%・中畑41.1%)
- 新潟県長岡市農業委員会「令和7年度分 長岡市農地賃借料情報」(令和8年7月発行) https://www.city.nagaoka.niigata.jp/shisei/cate04/nougyou/kosaku.html ― 市内全域で30a未満の田13,800円・50a以上の田20,000円・畑5,300円、現物払いは米60kg当たり33,000円で換算
- さいたま市「農地の賃借料情報」 https://www.city.saitama.lg.jp/005/002/002/p079250.html ― 令和7年1〜12月締結分で田5,600円・畑8,200円、標準小作料制度廃止と農地法52条の趣旨
- 岐阜県高山市農業委員会「農地の賃借料情報の公表について(令和7年12月末現在・令和8年度版)」 https://www.city.takayama.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/002/641/r8_tinsyakuryo.pdf ― 市全体で田2,100円・畑4,000円(無償の貸借を0円として集計)、地域別の差、使用貸借(無償)の筆数
- さいたま市「農地の売買、贈与、貸借等の許可(農地法第3条)」 https://www.city.saitama.lg.jp/005/002/002/p041180.html ― 3条許可の要件、常時従事の目安(年間150日以上)、無許可は無効、毎月15日締切・標準処理期間30日
- 新潟県上越市「農地の売買、贈与、賃貸借等の手続き(農地法第3条)」 https://www.city.joetsu.niigata.jp/soshiki/jonogyo/3jyou.html ― 無許可の行為は無効、毎月10日締切
- 新潟県「農地の賃貸借の解約等の制限(農地法第18条)」 https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/nochikanri/1356880915793.html ― 解約に許可が必要、合意解約等の例外、使用貸借は解約制限の対象外、合意がない限り解約されない旨
- 群馬県「農地の賃貸借の解約等の制限(農地法第18条)」 https://www.pref.gunma.jp/page/9204.html ― 許可が必要な行為(解除・解約の申入れ・合意解約・更新拒絶)と例外
- 農林水産省「特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律の施行について」(事務次官依命通知) https://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/tosi_nougyo/attach/pdf/s_houritsu-20.pdf ― 特定農地貸付けの3要件(10a未満・営利目的でない・5年を超えない)、10aを区切りとする理由、入園契約方式の説明
- 農林水産省「市民農園開設状況調査の結果について(令和7年3月末時点)」 https://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/tosi_nougyo/attach/pdf/s_joukyou-5.pdf ― 4,273農園・188,713区画・1,284ha、開設主体別・根拠法別の内訳、関東2,263農園
- 農林水産省「市民農園の利用方法」 https://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/tosi_nougyo/s_riyou.html ― 区画50㎡未満が約8割、利用料年5千円未満が約5割、利用期間、募集は1〜3月
- 農林水産省「市民農園に関係する法律」 https://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/tosi_nougyo/s_houritsu.html ― 特定農地貸付法・市民農園整備促進法・都市農地貸借法
- 農林水産省「eMAFF農地ナビ」 https://map.maff.go.jp/ ― 農地台帳・農地地図の一般公開、公表項目
- 広島県「農地法の手続き 解説1 農地法第3条許可について」 https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/nochiho/1170747404754.html ― 全部効率利用・農作業常時従事・地域調和の各要件、下限面積要件は令和5年4月1日以降適用されない旨
- e-Gov法令検索「農地法」(昭和27年法律第229号・現行条文) https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC0000000229 ― 第3条(許可・無許可は無効・第3項の解除条件つき貸借)、第4条(転用の許可)、第17条(賃貸借の更新)、第18条(賃貸借の解約等の制限)、第21条(契約の文書化)、第52条(情報の提供)、第64条(罰則=3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)
- 公益財団法人えひめ農林漁業振興機構「農地を借りたい方へ」 https://enk.or.jp/nochi/kariuke/ ― 農地バンクの借受人の要件(認定農業者・認定新規就農者・集落営農法人等の担い手、効率利用、常時従事)
- 農林水産省「令和5年農地の移動と転用(農地の権利移動・借賃等調査)」[参考]表5「借賃の水準(百円/10a当たり)」(e-Stat・2026年2月25日公開) https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&lid=000001477636 ― 全国 田94・畑79(=田9,400円・畑7,900円)、新潟県 田168、埼玉県 田51、岐阜県 田65
- 農林水産省「農地法関係事務に係る処理基準について」 https://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/nouchi_seido/pdf/sk.pdf ― 年間150日以上なら常時従事と認める・150日未満の扱い、第3条第3項は貸借に限った例外的な取扱い
- 農林水産省「様式例第1号の1 農地法第3条の規定による許可申請書」 https://www.maff.go.jp/j/kokuji_tuti/tuti/pdf/t0000917_yousiki1_01.pdf ― 農作業に常時従事しない場合の追加記載事項
- 農林水産省 経営局資料「法人が農業に参入する場合の要件」 https://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/pdf/hy.pdf ― 営農計画、水利調整、地域での役割分担の例(集落での話し合い・農道や水路の維持活動)、かつての下限面積(原則50a・北海道は2ha)
あわせて読みたい
─ 産地直送・目利き保証 ─
🏮 さんぼう君の新鮮市場
現場を知る大将が「間違いない肉と野菜」だけを並べました。肉のふるさと納税・お取り寄せ・野菜定期便 →
─ さんぼう君よりひとこと ─
この記事は、農業と畜産を営む家で育った経験と、飼料営業として担当エリアの現場で見聞きしたことに基づいています。 個別の経営判断は、必ず担当の税理士・士業・JA・農業委員会等にご相談ください。
─ さんぼう君のおすすめ本 ─
※ 一部リンクはアフィリエイトリンクです(PR)