─ PROFILE ─

農場のさんぼう君

さんぼう君

農業を始めたい人と、続ける人の、現場目線の相談相手。

はじめまして、さんぼう君です

私は、農家の息子です。実家は和牛の繁殖農家で、野菜も作っています。 牛の世話と畑仕事が当たり前にある家で育ちました。

親は、何十年も本当に一生懸命やってきました。でも、ずっと引っかかっていたことがあります—— 「売り先が、限られている」。いいものを作っているのに、出す先はだいたい決まっていて、 値段も自分では決めにくい。やり方次第で、もっと稼げるんじゃないか。 子どもの頃から、そう感じてきました。

その問いを深く追いかけるうちに、畜産経営・和牛・飼料・補助金・相続・販路……と、 農業のお金まわりの知識が、どんどんたまっていきました。 全国の農家の現場にも関わり、本やネットだけでは見えない「現場のリアル」を学んできました。

このサイトは、そうして得た知識を、農業を始めたい人・続ける人・継ぐ人へ、 できるだけ正直に、できるだけ分かりやすくお届けする場所です。

名前をつけた母牛の話

農業経営の話をするとき、私が真っ先に思い出すのは、実家の一頭の母牛のことです。 父は、その牛に家族の名前をつけました。世話を焼くうちに情が移り、 よく懐いて、目が合うと寄ってくる。父にとっては、もう家族の一員でした。

繁殖農家にとって、母牛は子牛を産んでくれる大切な資産です。 でも同時に、「いつ入れ替えるか(更新するか)」という判断が経営の生命線でもあります。 年をとって産む力が落ちてきたら、次の若い牛に切り替えていかないと、農場全体の生産性は静かに下がっていく。 頭では、みんな分かっています。

でも、名前をつけた牛は、切れませんでした。売りどきが来ても「もう一産、もう一産」と情が邪魔をして、 気づけば産む力の落ちた牛を何頭も抱えることになる。父を責める気はまったくありません。 私だって同じことをしたと思います。ただ、あのとき横で見ていて、「家畜に名前をつけると、経営判断が鈍る」 という一つの型を、体で覚えました。情と数字は、時にまっすぐぶつかる。 これは本やセミナーでは教えてもらえなかった、私にとって最初の学びです。

血統に夢を見る、という遠回り

繁殖の現場に関わっていると、話題はどうしても血統に集まります。 どの種牛をつけたか、あの系統は枝肉の成績がいい、あの血を入れれば化けるかもしれない——。 血統を追いかけるのは楽しいし、実際に大事な要素でもあります。

ただ、私が全国の現場で何度も見てきたのは、「血統への憧れ」と「商売としての本質」の優先順位が、 いつの間にか逆転してしまう光景でした。高い血統の牛を安く仕込んで一発当てる—— その夢を見ているうちに、日々の飼養管理や、そもそもの「どうやって着実に稼ぐか」という 地味な足元が、後回しになっていく。近道のつもりが、いちばんの遠回りになっていることが少なくありません。

血統はロマンです。でも農業は、家計を支える商売でもあります。 このサイトで私がしつこく「お金の話」「売り方の話」を書くのは、 現場でその逆転を見すぎたからです。ロマンを否定したいのではなく、 ロマンを続けるためにこそ、まず稼ぐ足腰が要る——そう思っています。

これまで関わってきたテーマ

このサイトを書ける根拠(情報の出所)

書籍やWebの二次情報ではなく、以下の現場体験を一次情報として書いています。

書ける範囲は限られています(守秘義務があるため農家名・取引先名は伏せています)が、 机上では見えない深さの話を残していきたいと思っています。

いまも答えが出ていない、正直な話

ここまで偉そうに書いてきましたが、私自身、ずっと答えの出ていない問いを抱えています。 隠さず書いておきます。

農業の現場には、のんびりした時間の流れがあります。それはこの仕事の魅力そのものです。 でもその一方で、後継ぎの問題や、時代に合わせた経営の見直しが、 「まあ、そのうち」と先送りされていく空気も、確かにあります。 名前をつけた母牛を切れなかった父のように、変えたほうがいいと分かっていても、 今日までのやり方を続けてしまう。責められることではありません。私だってそうです。

では、外から関わってきた私は、どう振る舞うのが正解なのか。 「もっとこうすれば稼げますよ」と経営にまで口を出していいのか。 それとも、余計なお世話だと弁えて、知らないフリをするのが礼儀なのか——。 この答えは、最後までわかりませんでした。今もわかりません。 踏み込みすぎて関係を壊したこともあれば、黙っていて後悔したこともあります。

きれいにまとめるつもりはありません。 農業経営に「これが正解」という一本道はなくて、その家の事情も、人の気持ちもある。 私は、答えを持っている人間ではなく、答えを探し続けている人間として、 このサイトを書いています。

このサイトをつくった理由

うちの親のように、いいものを作っているのに売り先が限られていて、 もっと稼げるはずなのに……という農家は、全国にたくさんいます。 私自身が、その当事者の家で育ちました。

飼料の高騰、後継者問題、相続税、補助金、新規就農、そして「作ったものの売り方」──。 畜産・農業には、現場の人にしか分からない情報がたくさんあるのに、 ネット検索しても、なかなか本当の話には辿り着けません。

補助金の金額も、相続税の計算も、飼料相場の推移も、調べれば分かります。 制度や数字は、時間をかければ誰でも辿り着ける。 でも、名前をつけた牛を切れずに生産性を落としていく現場の空気や、 血統の夢に足元をすくわれていく失敗の「型」は、実際にその場で見た人間にしか書けません。 私が残したいのは、その部分です。

だから、農家の息子として、そして深く調べ・現場で学んできた者として、 得た知恵を、できるだけ正直に、できるだけ分かりやすく、ここに残していこうと思いました。 いつか実家の——そして全国の農家の——「売り方」を変える力になれたら、と思っています。

こんな方に読んで欲しい

運営のルール


畜産という仕事を、一緒にもっと面白くしていきましょう。