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暑さ対策棚|農作業グッズと空調服の選び方

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暑さ対策棚|農作業グッズと空調服の選び方
📑 目次

※本記事はプロモーションを含みます。

農作業の暑さ対策グッズは、①暑さ指数(WBGT)を測る道具 → ②空調服(ファン付き作業服)→ ③帽子・ネッククーラーの順にそろえる。

空調服は公的資料に効果の数字があるが、国のガイドラインは「それのみでは熱中症を防止することは困難」とも書いている。休憩・水分・作業時間帯とセットで使う。

手袋と長靴は現場の道具棚、家庭菜園の道具ははじめての畑棚に並べた。

この棚で扱うのは、道具を使う人間の側を守るものだ。

私は医者ではないので、国が集めた数字を並べて、そこから道具を逆算する。

先に結論。暑さ対策棚の三原則

① 気温ではなく「暑さ指数(WBGT)」で判断する。湿度と輻射熱が入っていない気温だけの判断は、屋外とハウスで確実に外す。最初に買うのは黒球つきの熱中症計でいい。

② 空調服は「効くが、それだけでは足りない」。国のガイドラインが効果と限界の両方を明記している。単独の解決策ではなく、休憩・水分・時間帯とセットで使う道具。

③ 最強の対策は、買い物ではなく「時間割」。死傷者の約7割は7月と8月に集中する。暑い時間に働かない設計ができれば、グッズの負担は一段軽くなる。

⚠️ はじめにお願い(この記事は医療の助言ではありません)

本記事は道具と段取りの選び方をまとめたもので、診断や治療の助言ではありません。めまい・立ちくらみ・頭痛・吐き気・大量の発汗・こむら返り・生あくびなど、いつもと違う異変を感じたら、その場で作業を中止し、涼しい場所へ移動して体を冷やしてください。水分を自分で摂れない、意識がはっきりしない、症状が改善しない場合は、ためらわず救急要請(119番)を。判断に迷うときは救急安心センター事業(#7119)などに相談してください。持病や服薬(血圧・糖尿病・腎臓など)で水分・塩分・糖分の摂取に制限がある方は、必ず主治医の指示を優先してください。

この記事で分かること

  • 農作業の熱中症の公的統計(令和6年・令和7年)
  • 暑さ指数(WBGT)で判断する理由と、測る道具
  • 空調服の選び方と、国のガイドラインが示す効果の数字と限界
  • 頭と首の装備、水分・塩分の目安、時間と段取りの設計

農作業の熱中症は、我慢の文化がいちばんの敵

真夏の畑に置かれた麦わら帽子と水筒、陽炎の立つ畝——農作業の暑さ対策を象徴するイメージ

① 農作業の死亡事故の、5人に1人が熱中症

農林水産省が令和8年2月26日に公表した調査によれば、令和6年の農作業死亡事故は287人で、前年より51人増えた。

そのうち熱中症による死亡は59人。

前年(37人)から22人増えている(出典:農林水産省「令和6年の農作業死亡事故について」)。

およそ5人に1人である。「農業機械・施設以外の作業に係る事故」116人の中で見ると、熱中症は50.9%と半分を超える。

令和6年の農作業死亡事故人数割合
死亡者数 全体287人—
うち熱中症59人20.6%
機械・施設以外の事故(116人)のうち熱中症59人50.9%
65歳以上248人86.4%
80歳以上122人42.5%

発生月は7月が58人(20.2%)、8月が46人(16.0%)。

この2か月だけで年間の3分の1を超える(同前)。

② 農業は「倒れる人は少ないのに、亡くなる人が多い」

厚生労働省の集計では、2025年(令和7年)の職場における熱中症の死傷者数は1,803人で、前年比約43%増。

2005年に統計を取り始めて以降で最多となった。

死亡者は19人で前年比約39%減っている(出典:厚生労働省「2025年(令和7年)職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」)。

2021〜2025年の5年間の集計で、農業だけを取り出すとこうなる(労働者を雇う事業場からの報告にもとづく統計で、家族だけで営む農家は対象外)。

  • 農業の死傷者は128人=全体の2.3%
  • 農業の死亡者は11人=全体の8.4%

倒れた人数のシェアは小さいのに、亡くなった人数のシェアはその3倍以上だ。農業の熱中症は報告された100件あたり8件以上が死亡に至っている計算になる。建設業(52人/1,038人)でも5%、製造業は1.4%だ。同じ資料の2025年の死亡事例には、こういう記述がある。

「被災者は屋外にある農園において、屋外で一人で作業に従事していた。15時頃、同僚が同農園に倒れている被災者を発見した。到着した救急隊員により、その場で死亡が確認された。」(60歳代男性・7月・現場近隣の観測所の参考値で気温35.1℃/WBGT 33.1℃)——厚生労働省の同資料より

倒れてから見つかるまでの時間が、農業の致死率を押し上げていると考えられる。だからグッズと同じ重さで、「誰かが知っている状態で作業する」段取りが要る。

③ 搬送は増え続けている

農林水産省の資料によれば、令和6年度の夏季(5〜9月)に田畑等で農作業中に熱中症で救急搬送された人数は2,322人で、直近5年で最多だった(消防庁調査による。出典:農林水産省「熱中症対策研修テキスト(短縮版)」)。

5年前の令和2年は1,599人だ。

気温で判断すると外す——暑さ指数(WBGT)という物差し

まず一つ買うなら測る道具だと私は思っている。体感と気温では、危険な日を取りこぼすからだ。

環境省の説明では、暑さ指数(WBGT)は①湿度、②日射・輻射など周辺の熱環境、③気温の三つを取り入れた指標だ(出典:環境省熱中症予防情報サイト「暑さ指数(WBGT)について」)。

屋外で太陽照射があるときのWBGTは「0.7×自然湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度」で求められ、気温の重みはわずか1割である(出典:厚生労働省「職場における熱中症予防対策マニュアル」)。

日常生活の目安と、アラートの基準

暑さ指数(WBGT)区分(日常生活に関する指針)
31以上危険——すべての生活活動でおこる危険性
28以上31未満厳重警戒——外出時は炎天下を避ける
25以上28未満警戒——中等度以上の生活活動でおこる危険性
25未満注意——強い生活活動でおこる危険性

熱中症警戒アラートは、府県予報区等内のいずれかの地点で翌日・当日の日最高暑さ指数が33に達すると予測された場合に発表される。熱中症特別警戒アラートは、都道府県内のすべての情報提供地点で翌日の日最高暑さ指数が35に達する場合等に発表される(出典:環境省熱中症予防情報サイト。日常生活の区分は日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針」にもとづく)。

「うちは家族経営だから関係ない」は、半分だけ正しい

2025年6月に施行された改正労働安全衛生規則により、労働者を使用する事業者には熱中症対策が義務づけられた。

対象は「WBGT値が28度以上又は気温が31度以上の場所において継続して1時間以上又は1日4時間を超えて行われることが見込まれる作業」。

事業者は、異変に気づいたときに報告させるための体制を整備し、悪化を防ぐための手順を作成して周知することが求められる(出典:厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドライン」)。

家族だけで営む農家に、この義務がそのまま降ってくるわけではない。

ただ同じガイドラインは、労働者と異なる場所で就業する個人事業者等については、自らの熱中症の発症を予防するために、各種支援を活用しつつ、事業者と同様の対応を行うことが望ましいとしている。

買うなら「黒球つき」を選ぶ

ガイドラインは、日本産業規格 JIS Z 8504 又は JIS B 7922 に適合したWBGT指数計を準備し、点検することとしている。黒球がないなど規格に適合しない測定器では、屋外や輻射熱がある屋内の作業場所でWBGT値が正常に測定されない場合があるとも注意している(同前)。

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環境省の熱中症予防情報サイトでも地域を代表するWBGTは見られる。

ただしガイドラインは、参考値は実測値より低めの数値となることがあるため、直射日光下の作業や風通しの悪い屋内では実測が必要だとしている。

空調服・ファン付きウェアは「効く。ただし、それだけでは足りない」

トルソーに着せた空調服(ファン付き作業服)とバッテリー、作業台の上に並ぶファンユニット——農作業用ファン付きウェアの選び方のイメージ

「空調服」は特定メーカーの登録商標で、一般名称は「ファン付き作業服(ファン付きウェア)」。以降は主に「ファン付き作業服」と書く。

公的な資料に書かれている「効果の数字」

・ファン付き作業服の着用で、休憩時間を短くすることも可能である。温度30℃、湿度85%における運動実験の結果、ファン付き作業服の着用は非着用時と比較して同様の体温に到達するまで15分遅らせる効果があることがわかっている。

・同実験の結果、ファン付き作業服の着用は非着用時と比較して推定発汗量を約20%減少させる効果があることもわかっている。

——厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドライン」より

農林水産省側にも、刈払機を用いた草刈り作業では、ファン付き作業服を着用しない場合に比べ、深部体温の上昇を抑制する効果があるという実証結果が示されている(令和6年度 農作業事故防止中央推進会議の農業機械士によるモニター調査。同資料は「作業内容・作業環境によって効果は異なる可能性がある」とも注記している。出典:農林水産省「熱中症対策研修テキスト(短縮版)」)。

そして、限界もはっきり書かれている

同じガイドラインが、続けてこう書いている。

「身体を冷却する機能を持つ服を着用することは一定程度有効ではあるが、それのみでは熱中症を防止することは困難であるため、他の対策と組み合わせて実施することが望ましいこと」

「空調服を着ているから大丈夫」と思って、休憩と水分を削る——これが最悪の使い方だ。

選ぶときに見るのは、この4点だけ

見るところ判断の軸
① バッテリー電圧(風量の上限を決める)と容量(連続稼働時間)。一日仕事なら予備1個かモバイル運用を前提に
② 風量の段階段階が多いほど、朝夕に絞って電池を持たせる運用ができる
③ 服の形ベスト=軽く暑いが日焼けは防げない/長袖=直射日光と草・虫から守れる/フード付き=首の後ろまで風が回る
④ 生地の素材ポリエステル主体=軽く乾く。綿混・綿100%=火の粉に強い。溶接・焼却・草焼きが絡むなら綿系一択

化学繊維は火の粉で溶けて穴があく。令和6年の農作業死亡事故の統計にも、稲わら焼却中等の火傷という区分がある。焼却、溶接、グラインダーの火花が絡む作業では、生地で選ぶ。考え方は現場の道具棚に書いた「1種類では回らない」と同じだ。

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濡らしたインナーを一枚

農林水産省の資料には、ファン付き作業服については、濡らしたインナーを内側に着用することで、より効果的に身体を冷やすことが期待できるとある(同「熱中症対策研修テキスト(短縮版)」)。

バッテリーの置き場所は、夏がいちばん危ない

製品評価技術基盤機構(NITE)が令和8年7月15日に公表した注意喚起によれば、2021年から2025年までの5年間にリチウムイオン電池搭載製品の事故が2,140件報告され、8月にピークを迎えるという。

事故を防ぐポイントとして、購入前に販売事業者情報やリコールを確認すること、高温となる場所では使用・保管しないことが挙げられている(出典:製品評価技術基盤機構「『夏バテ(夏のバッテリー)』にご注意を」)。

バッテリーは車内や締め切った物置に置かず、涼しい場所に置き場所を決めておく。

充電は目の届く場所で、純正または指定の組み合わせで使う。

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頭と首を守る——遮熱帽子・冷感タオル・ネッククーラー

つば広の作業帽子とネッククーラー、冷感タオル、保冷ボトルが木のテーブルに並ぶ——農作業の暑さ対策グッズのイメージ

帽子は「日よけ」ではなく「通気」で選ぶ

厚生労働省のガイドラインは、直射日光下の作業では通気性の良い帽子、ヘルメット等を準備することとしている。

農林水産省の資料も、通気性のあるものや熱を逃がしやすい素材のものを選び、頭部に熱がこもらないようにと書いている。

見るのは3点だ。

  • つばの広さ——首の後ろまで覆えるか(後ろ垂れつきは屋外作業で強い)
  • 通気——メッシュ・通気孔・編みの粗さ。ここが最優先
  • 洗えるか——汗を吸う道具なので、洗えないものは1シーズンでへたる

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ネッククーラーは3タイプ。畑での正解は違う

農林水産省の資料でも、熱中症対策アイテムとしてファン付き作業服と並んでネッククーラーが挙げられている。

売り場にあるものは仕組みが3つに分かれる。

タイプ仕組み農作業での向き・不向き
PCM(28℃前後で固まるリング型)温度に応じて固まったり溶けたりする素材(PCM)が熱を吸収する。メーカー公式の例では「25〜28℃以下の環境で固まる」と案内されている(SUO RING 28°ICE)電源不要・軽い。気温が高いと戻るのが早いので、休憩ごとに交換する運用向き
保冷剤・氷嚢タイプ凍らせた保冷剤を首に当てる冷却力は強い。クーラーボックスに予備を入れておける。結露と重さが難点
電動(ペルチェ式・ファン式)電気で冷やす/風を当てる持続時間は電池次第。騒音の中では動いているか気づきにくいことがある(ここは私の見立て)

私の見立てでは、農作業なら「PCMリングを複数本、クーラーボックスで回す」がいちばん素直だ。交換の動作が、そのまま休憩のきっかけになる。

冷感タオルも置いておきたい。

ガイドラインも、応急の身体冷却として濡れタオルを身体に当てて扇風機で風を当てる方法を挙げている。

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水分と塩分は「のどの渇き」ではなく「時計」で摂る

厚生労働省の資料は、作業場所のWBGT値がWBGT基準値を超える場合には、少なくとも0.1〜0.2%の食塩水、ナトリウム40〜80mg/100mLのスポーツドリンク又は経口補水液等を、20〜30分ごとにカップ1〜2杯程度を摂取することが望ましいとしている。摂り過ぎに注意することとも明記されている(出典:厚生労働省「職場における熱中症予防対策マニュアル」)。

農林水産省の資料も、のどが渇いていなくても、20分おきに毎回コップ1〜2杯以上を目安に水分補給しましょうと書いている。

マニュアルによれば、人間は脱水状態が軽いときには口渇感を感じることができない。

何を飲むかの使い分け

場面向くもの理由
作業中の定期補給0.1〜0.2%の食塩水/ナトリウム40〜80mg/100mLのスポーツドリンク汗で失うのは水だけでなくナトリウム。国の目安がこの帯
大量に汗をかいた後、体調が落ちているとき経口補水液水分と電解質の吸収を狙った設計。厚労省・農水省とも応急時に挙げている
休憩時・作業前の体温下げアイススラリー(流動性の氷状飲料)ガイドラインが応急の身体冷却で明記。農水省は水分・塩分補給の項でアイススラリーをすすめ、作業前に体を冷やす「プレクーリング」も別途推奨している
食事の場面味噌汁・漬物など、いつもの塩分極端な塩分追加は不要。日常の食事も供給源

塩分の必要量は「暑さに慣れているか」で変わる

同じマニュアルにこうある。暑熱環境にさらされていない人は1日に15〜20gもの食塩を発汗で失うことがあるが、順化によって1日3〜5g程度の喪失に抑えることができる。

シーズン初めや休み明けこそ、塩分の補給を軽く見ない。

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持病がある方へ。厚生労働省の資料も、高血圧で塩分等の摂取が制限される、糖尿病で糖分等の摂取が制限されるなど基礎疾患のある人については、主治医・産業医等に相談することとしています。この記事の数値は健康な成人を前提にした一般的な目安です。腎臓・心臓・血圧・血糖に関わる治療を受けている方は、必ず主治医の指示を優先してください。

いちばん効く対策は、買い物ではなく時間割

金をかけずにいちばん効くのは、働く時間を動かすことである。

7月と8月に、7割が集中する

厚生労働省の集計では、2025年の職場の熱中症死傷者1,803人のうち約72%が7月または8月の2か月間に集中し、死亡者19人でも約79%がこの2か月だった。

2021〜2025年の5年計でも死傷者の約77%、死亡者の約85%が7月・8月に集中している(同「発生状況(確定値)」)。

ハウス・畜舎は「早朝作業」と名指しされている

ガイドラインの業種・作業別の対応例に、こうある。

「WBGT値が極めて高い傾向にあるビニールハウス、畜舎等での作業は、早朝作業を行い、こまめに日陰で休憩する。」

屋外作業についても「太陽の位置を考慮して日陰となる場所で作業を行う、早朝から作業を行い、早帰りとする」…(などにより直射日光下での作業時間を短縮する)としている。

私の見方で時間割にすると、こうなる。

時間帯回す作業
早朝(日の出〜9時頃)ハウス作業・収穫・草刈り・畜舎の重作業
日中(10〜16時)出荷準備・選別・記帳・機械整備・注文対応など屋根の下の仕事/休息
夕方(17時〜日没)残りの見回り・水やり・翌日の段取り

日中を「屋内の仕事をする時間」と定義し直すのがコツだと思っている。

厚労省の資料には、17時台や18時台以降に死亡に至るケースが少なからずみられ、これらには日中には重篤な症状はみられなかったにもかかわらず、作業終了後や帰宅後に体調が悪化した事案が含まれているという記述もある。

暑熱順化——盆休み明けが、いちばん危ない

厚生労働省の資料によれば、順化の例として順化していない状態から7日以上かけて熱へのばく露時間を次第に長くすることが挙げられ、熱へのばく露が中断すると4日後には順化の顕著な喪失が始まり、3〜4週間後には完全に失われるとされている。

休み明けの初日は、量を落として入る。

単独作業を、設計から減らす

ガイドラインは長時間の単独作業を避け、なるべく短時間にさせること、避けられない場合はウェアラブルデバイス等によるリアルタイム把握の検討や、体調の定期連絡など常に状況を確認できる態勢を確保することが望ましいとしている(ウェアラブルデバイスが着用者の状態を必ずしも正確に把握できるとは限らない旨の留保つき)。

2人1組で声をかけ合う「バディ」も明記されている。

農林水産省も、単独で作業する場合も、家族や従業員等が定期的に巡回を行うことにより、定期的に確認できる環境で作業しましょうと書いている。

家族経営でできる形にすると、こうなる。

  1. 行き先と戻る時刻を、家の誰かに必ず言ってから出る(ホワイトボードに一行でいい)
  2. 戻り時刻を過ぎたら、家の側から電話する——本人からの連絡を待たない
  3. スマホは体に付ける(軽トラに置かない。倒れた場所から届かない)
  4. 刈払機やハウスなど音と暑さが重なる作業は、時間を決めて区切る

大将のひとこと——牛は更新できるが、体は更新できない

私はこのサイトで、繁殖の母牛は価値が残っているうちに手放して、次に回すほうが経営としては強いと書いてきた。

5産で売る、という考え方だ。

暑さ対策は、金をかける優先順位のいちばん下に置かれがちだ(優先順位の話は現場の道具棚でも書いた)。効果が見えないからである。

だが、牛は更新できる。機械も買い替えられる。経営者の体だけは、入れ替えることができない。

86.4%が65歳以上という数字は、経験の長い人ほど自分の体を過去の感覚で判断しやすいということでもあると思う。優先順位の表に、自分の名前を書き足してほしい。

よくある質問(FAQ)

Q. 農作業の暑さ対策グッズは、何から買えばいいですか?

測る道具、次に空調服、その次に首と頭の順をおすすめします。判断の土台になるのが暑さ指数(WBGT)だからです。

Q. 空調服は本当に効果がありますか?

効果は公的資料に数字で示されています。ただし同じガイドラインは「それのみでは熱中症を防止することは困難」とも明記しています。休憩・水分・時間帯とセットで使ってください。

Q. 空調服は綿とポリエステル、どちらを選ぶべきですか?

火の粉が飛ぶ作業があるかどうかで決めます。焼却・溶接・グラインダー・草焼きが絡むなら、綿混や綿100%を選んでください。

Q. ネッククーラーはどのタイプが農作業向きですか?

PCMのリング型を複数本、クーラーボックスで回すのが使いやすいと考えます。冷却力を優先するなら保冷剤タイプです。

Q. 水分と塩分は、どれくらいの間隔で摂ればいいですか?

厚生労働省の資料では20〜30分ごとにカップ1〜2杯程度が目安です(摂り過ぎには注意)。

塩分・糖分の摂取に制限がある方は主治医に相談してください。

Q. 家族経営でも、熱中症対策は義務になるのですか?

義務の対象は、労働者を使用する事業者です。

ただしガイドラインは、個人事業者等についても、事業者と同様の対応を行うことが望ましいとしています。

Q. お盆休み明けが危ないと聞きました。本当ですか?

裏づけがあります。暑熱へのばく露が中断すると4日後には順化の顕著な喪失が始まるとされています。休み明けの初日は作業量を落としてください。

Q. 一人で作業する場合、どうすればいいですか?

行き先と戻る時刻を家族に伝える、戻らなければ家から電話する、スマホを体に付ける——できることから始めてください。

まとめ:暑さは、気合いではなく道具と時間割で防ぐ

  • 気温ではなくWBGT——黒球つきの測定器を選ぶ
  • 空調服は効く。ただし単独では足りない——休憩・水分とセットで
  • 最後は時間割——ハウス・畜舎は早朝作業。単独作業は家族に行き先を伝える

マイペースにいきましょう。

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参考文献・出典

本記事の統計・制度・数値に関する記述は、以下の公的機関の一次情報に基づく(2026年8月時点で内容とURLを確認)。

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この記事は、農業と畜産を営む家で育った経験と、飼料営業として担当エリアの現場で見聞きしたことに基づいています。 個別の経営判断は、必ず担当の税理士・士業・JA・農業委員会等にご相談ください。

この記事を書いた人

さんぼう君

実家は農業と畜産。その実家の「売り先が限られている/やり方次第でもっと稼げるはず」 という課題を追ううちに、畜産・農業経営の知識を深く積み上げてきました。 現場で学んだ「リアルな農業経営」を、業界外の人にもわかる言葉でお伝えしています。

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