黒毛和牛の飼育頭数ランキング|1位は鹿児島・上位3道県に集中
— 更新:
📑 目次
※本記事はプロモーションを含みます。
「黒毛和牛の産地といえばどこか」と問われれば、多くの人は松阪牛、神戸ビーフ、米沢牛などのブランド名を挙げるだろう。だが飼育数という観点で見れば、答えは全く異なる。
飼料・畜産資材の代理店営業として、北海道や鹿児島をはじめ、繁殖農家・肥育農家を13年回ってきた立場から言わせてもらえば──数が多い産地と、名前が売れている産地は、必ずしも一致しない。
本記事では、黒毛和牛の飼育数という切り口から、日本の和牛産業の実態を解き明かしていく。
飼育頭数の1位は鹿児島県、2位宮崎県、3位北海道(農林水産省の畜産統計より)。ポイントは、「有名なブランド牛の名前」と「頭数が多い産地」は必ずしも一致しないこと。本記事ではTOP10と、なぜ特定の県に集中するのかを現場目線で解説します。
📌 先に「何を数えたランキングか」を明確にしておく。本記事が並べているのは黒毛和種という「品種」の飼養頭数であり、乳用種・交雑種(F1)まで含む「肉用牛全体」のランキングとは母数が違う。数字で言うと、令和7年2月1日現在で肉用牛全体は259万5,000頭、うち肉用種が185万1,000頭、そのうち黒毛和種が181万8,000頭という入れ子だ(農林水産省「畜産統計」)。「肉用牛 都道府県ランキング」を探して来た人は、この記事の順位が肉用牛全体の順位とずれる場合があることを頭に置いて読んでほしい。
なお最新の畜産統計(令和8年2月1日現在・2026年7月28日公表)では、肉用牛全体が247万3,000頭(前年比4.7%減)、うち肉用種が175万5,000頭(同5.2%減)まで減っている。頭数の縮小は全国規模で続いている。
黒毛和牛の飼育数ランキング TOP10
農林水産省が公表している畜産統計を基にすると、黒毛和牛(肉用種)の飼育頭数は都道府県間で大きな差がある。
| 順位 | 都道府県 | 黒毛和種 飼養頭数 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 鹿児島県 | 348,900頭 | 国内最大の黒毛和牛産地 |
| 2位 | 宮崎県 | 220,600頭 | 宮崎牛の産地、規模拡大が進む |
| 3位 | 北海道 | 205,200頭 | 広大な農地、大規模経営が多い |
| 4位 | 熊本県 | 94,100頭 | あか牛(褐毛和種)との複合が多い |
| 5位 | 長崎県 | 76,300頭 | 長崎和牛の産地 |
| 6位 | 沖縄県 | 73,500頭 | 子牛生産(繁殖)が中心 |
| 7位 | 宮城県 | 66,300頭 | 仙台牛など |
| 8位 | 岩手県 | 64,400頭 | 前沢牛など銘柄牛の産地 |
| 9位 | 佐賀県 | 49,300頭 | 佐賀牛の産地 |
| 10位 | 兵庫県 | 49,100頭 | 但馬牛・神戸ビーフの原産地 |
(農林水産省「畜産統計」令和7年2月1日現在・黒毛和種)
上位3道県だけで774,700頭。全国1,818,000頭の約42.6%を、鹿児島・宮崎・北海道の3道県が抱えている計算になる。4位の熊本県が94,100頭であることを考えると、上位3つの厚みは頭ひとつ抜けている。
注:2位以下の順位は変動しており、年次・統計方法によって異なる場合がある。農林水産省の最新統計を必ず確認されたい。
この表の「数字」をどう読むか
ランキングを正しく読むために、押さえておきたい前提が三つある。
- 和牛の主力は黒毛和種:和牛と一口に言っても4品種あるが、そのうち黒毛和種が約98%を占める(令和7年畜産統計:181万8,000頭÷185万1,000頭)。つまり「和牛=ほぼ黒毛和牛」と考えてよく、産地の話もこの品種が中心になる。
- 上位に極端に集中している:飼育頭数は全国に均等に散らばっておらず、鹿児島・宮崎・北海道といった上位の数道県だけで、全国のかなりの割合を占める。和牛は「産地が偏る商品」なのだ。
- 頭数の順位と「金額」の順位は別物:牛肉の産出額で見ると、頭数3位の北海道が全国トップ級に入る年もある。たくさん飼っている県が、いちばん稼いでいる県とは限らない。この記事のテーマそのものだ。
数字は「鹿児島が1位」という一点だけでなく、偏り方と、頭数では測れない価値まで合わせて見ると、産地の本当の姿が立ち上がってくる。
なお「和牛」と「黒毛和牛」「国産牛」の関係がややこしいと感じたら、和牛と国産牛の違いとは?定義・A5・見分け方 で表示ルールごと整理してある。
一、鹿児島県が1位である理由
鹿児島県が黒毛和牛飼育数1位であることは、業界内では揺るぎない常識だ。現場を回っていても、鹿児島の農家密度は他県とは明らかに違う。
なぜ鹿児島なのか。その答えは、地理・気候・農政・組合活動の複合要因にある。
温暖な気候と豊富な草地
鹿児島県は九州南端に位置し、温暖な気候が牛の飼育に適している。特に冬の寒さが比較的緩やかなことは、繁殖農家にとって大きなメリットだ。寒冷地では分娩時の子牛の凍死リスクが高まるが、鹿児島ではそのリスクが低い。
また、広大な畑地・草地を活用できる地形も有利に働いている。サトウキビ収穫後の農地を飼料畑として転用するサイクルが根付いており、自給飼料の調達コストを下げる農家が多い。
薩摩牛・鹿児島黒牛のブランド構築
鹿児島県は官民一体で「鹿児島黒牛」のブランド化を推進してきた。単に頭数が多いだけでなく、肉質向上・ブランド認証制度の整備を組み合わせた戦略が功を奏している。
代理店営業として鹿児島の農家を訪ね歩いた経験で言えば──鹿児島の農家には「競い合う文化」がある。隣の農家の子牛市場の成績を気にし、「あの農家の子牛はどうだった」と情報を交換しながら、お互いを高め合う空気があった。これは単純な競争心というより、産地全体の底上げ意識から来ていると感じた。
JA・農業組合の強固な組織力
鹿児島県の畜産農家は、JA(農業協同組合)との連携が強い。飼料・資材の共同購買から始まり、子牛市場(家畜市場)の運営、補助金申請のサポートまで、組合が農家を包括的に支援する体制が整っている。
個人で情報収集し、単独で経営判断せざるを得ない地域の農家と比べると、鹿児島の農家は「組織力」で勝負している印象を受けた。
二、宮崎県の躍進──数より質で勝負
順位の細かい序列には諸説あるが、宮崎県が上位に来ることは現場感覚でも間違いない。
宮崎県は2010年の口蹄疫禍で壊滅的な打撃を受け、一時は全国の肉用牛農家が恐怖した。当時は、廃業を決断した農家が相次いだと業界で語られていた。
しかし宮崎の農家は立ち直った。県・JA・農家が一体となって再建を進め、今では「宮崎牛」として全国に名を馳せる産地として復活している。
宮崎の農家で印象的なのは、データ管理への意識の高さだ。子牛の発育データ、繁殖成績、飼料効率──こうした数字をきっちり管理している農家が他県より多い。感覚で牛を管理する「職人型」より、数字で経営する「経営者型」の農家が育ちやすい土地柄かもしれない。
三、北海道の特異性──大規模経営という別世界
北海道の肉牛農業は、九州・東北のそれとは根本的に異なる。
北海道は、大規模な法人経営が多いことで知られる。広大な牧草地を持ち、TMR(Total Mixed Ration:混合飼料)飼育と組み合わせた効率的な経営スタイルが北海道の特色だ。
北海道の農家を訪問すると、「牛舎の大きさが違う」と毎回実感する。本州の農家の牛舎が「集落の一角にある施設」なら、北海道のそれは「工場」に近い。ミルキングパーラーや全自動給餌システムを導入した酪農家が多く、肉牛農家でも機械化・効率化が進んでいる。
ただし、北海道での黒毛和牛飼育は気候面での制約もある。厳冬期の寒さは子牛の管理を難しくし、牛舎設備への投資コストが高くなる。九州の農家とは「コスト構造が違う」と現場で何度も聞かされた。
帳簿づけ・確定申告を楽にするなら、マネーフォワード クラウド確定申告が1ヶ月無料で試せる(クレジットカード登録不要)。
四、飼育数と「ブランド牛」の違い
ここで最も重要な話をしておきたい。
飼育数が多い県と、有名なブランド牛の産地は、必ずしも一致しない。
松阪牛(三重県)、神戸ビーフ(兵庫県)、米沢牛(山形県)──これらは国内外に名を知られたブランド牛だ。しかし、飼育頭数という観点では、鹿児島・宮崎・北海道には遠く及ばない。
なぜこのようなギャップが生まれるのか。
ブランド牛は「仕上げ」の話
松阪牛は、素牛(もとうし)の産地ではなく、仕上げ(肥育)の産地の代表例だ。
たとえば松阪牛の素牛のほとんどは、但馬(兵庫)や九州産の子牛を市場で購入し、三重県の松阪地域で一定期間以上肥育したものだ。つまり「松阪牛」は品種名でも産地の生まれ名でもなく、「松阪地域で肥育された黒毛和牛」という仕上げの証明書にあたる。
一方、神戸ビーフは仕組みが逆だ。神戸肉流通推進協議会の定義では、もとになる但馬牛は「繁殖から肉牛として出荷するまで当協議会の登録会員(生産者)が本県内で飼養管理し」たものとされ、兵庫県内で生まれてから出荷まで一貫する。県外の子牛を仕上げても神戸ビーフにはならない(出典:神戸肉流通推進協議会「神戸肉・神戸ビーフの定義」)。
これを知らずに「神戸ビーフの産地だから飼育数が多い」と思い込むのは大きな誤解だ。
飼育数が多い産地の役割
一方、鹿児島・宮崎・北海道などの大産地が担っているのは、日本全体の子牛市場への供給という役割だ。
これらの産地で生まれた子牛が全国の家畜市場(セリ)に出荷され、松阪などの肥育農家に買われていく──これが和牛流通の大きな流れだ。
「産む産地」と「仕上げる産地」が分業している、というのが日本の和牛産業の実態である。
五、飼育数が多い県に共通する条件
飼育数上位の産地を現場目線で観察すると、いくつかの共通条件が見えてくる。
一、温暖または寒暖差が適度な気候
牛は極端な寒さに弱い。特に生まれたばかりの子牛は体温調節能力が未熟で、北海道・東北などの厳寒地では防寒設備への投資が必要になる。
九州南部・四国の温暖な気候は、繁殖農家にとって「天然の味方」だ。分娩時期の管理が楽になるだけで、子牛の生存率は大きく変わる。
二、広大な農地・草地の存在
粗飼料(牧草・わら類)の自給率を高めることは、飼料コストの削減に直結する。広大な農地を持つ地域は、飼料用トウモロコシや牧草を自作できる。
鹿児島のように、畑作農家と連携してサトウキビの残渣や麦わらを調達する仕組みが整っている地域は有利だ。北海道の牧草地は言うまでもない。
三、JA・農業組合の支援体制
農家単独では解決できない問題──家畜市場の運営、疾病時の獣医師との連携、補助金申請の代行──こうした支援が整っている地域は農家が続けやすい。
鹿児島・宮崎で農家が多いのは、こうした「組合力」の強さも無関係ではない。
四、補助金・畜産クラスター事業の活用
農林水産省が推進してきた「畜産クラスター事業」は、一定規模以上の農家や法人に対して、牛舎建設・機械導入・ICT整備への補助を行う制度だ。
この補助金を積極的に活用した農家が多い産地では、規模拡大が加速した。鹿児島・宮崎の上位農家の多くが、こうした制度を巧みに使ってきた(詳細は関連記事参照)。
六、現場で見てきた各産地の特色
13年、北海道から鹿児島まで農家を回ってきた。産地ごとの「空気感」を、ここで書き残しておきたい。
鹿児島:「量と質の共存」を目指す産地
鹿児島の農家は、全国で最も「子牛市場の成績」を意識している。毎回のセリで何万円の子牛を出せるか──それが農家の誇りと直結している。
品評会への参加意識も高く、優秀な農家を讃える文化がある。「多く産んで高く売る」という、繁殖農家として理想的な方向性を地域全体で目指している印象だ。
宮崎:「データで勝負」する農家文化
宮崎で飼料提案をすると、「この飼料を使ったら発育データはどう変わるか」という具体的な質問が返ってくることが多い。感覚より数字、経験より記録──そういった経営スタイルが根付いていると感じる。
口蹄疫の悲劇を経験し、「二度と壊滅的な打撃を受けないための経営の合理化」を進めた結果が、データ重視の文化として現れているのかもしれない。
北海道:「スケールの論理」が支配する世界
北海道の農家を訪問するたびに感じるのは、「スケールの論理」だ。1頭あたりのコストを下げるために頭数を増やす、機械化で人件費を削る、土地を広げて自給飼料を増やす──全てが「規模」という軸で最適化されている。
本州の農家が「一頭一頭丁寧に」という職人気質なのに対し、北海道の農家は「システムとして牛を管理する」という発想に近い。どちらが正しいというわけではないが、確かに違う世界だ。
九州北部(熊本・大分・長崎):「個性派」農家が多い地域
熊本・大分・長崎は、鹿児島・宮崎ほどの大産地ではないが、個性的な農家が多い印象がある。
「うちはこの血統一筋でやっている」という農家、「飼料はすべて自給にこだわる」という農家、「品評会での最高位を目指す」という農家──飼料営業として訪問すると、農家ごとの「哲学」を感じることが多い地域だ。
📒 農業の確定申告、ソフトを使えば驚くほど楽になる
農家の確定申告は複雑だ。牛の売買・飼料費・設備の減価償却など項目が多い。クラウド会計ソフトを使えば、日々の帳簿入力から複式簿記の帳簿づくりまで自動化できる(農業所得用の決算書は国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成する)。農業経営を数字で管理するための最初の一歩として、一度試してみることをすすめる。1ヶ月の無料お試しができ、クレジットカード登録も不要だ。まずは自分の帳簿で使い勝手を確かめられる。
七、今後の産地地図はどう変わるか
黒毛和牛の飼育数ランキングは、今後変わっていく可能性がある。
担い手不足の深刻化
農家の高齢化と後継者不足は全国共通の問題だが、産地によって深刻度が異なる。小規模農家が多い地域では廃業が相次ぎ、飼育頭数が減少している。
牛は家畜商や市場を通じて行き先が決まっても、トラクターやロールベーラーは倉庫に残りがちだ。「無料で引き取る」という話に即答する前に、相場だけでも並べて見ておく価値がある。1社の言い値で即決しないのが鉄則。👉 農機具買取査定君で無料査定を申し込む(PR)
一方、法人化・大規模化を進めた農家や企業参入が進む地域では、頭数を維持・増加させるケースもある。
企業参入と産地の変容
近年、農業法人や大手企業が畜産業に参入するケースが増えている。こうした企業は特定の産地にこだわらず、土地・労働力・補助金の条件が整った場所を選ぶ。
その結果、「伝統的な産地」以外の地域でも、飼育頭数が増える現象が起きつつある。
輸出拡大と産地ブランドの競争
和牛の海外輸出が拡大する中、産地ごとのブランド競争も激化している。飼育頭数の多い産地が必ずしも「輸出有利」ではなく、品質・ブランド力が問われる時代になりつつある。
「兵が多い陣が、必ずしも強い陣とは限らぬ」──これは単なる格言ではなく、和牛産業のこれからを暗示する言葉でもある。
よくある質問(FAQ)
Q1. 黒毛和牛の飼育数が一番多い県はどこですか?
鹿児島県です。農林水産省の畜産統計ベースで国内最大の黒毛和牛産地で、2位が宮崎県、3位が北海道と続きます。ただし2位以下の順位は年次や統計方法によって変動するので、正確な頭数は農林水産省の最新の畜産統計で確認してください。
Q2. 松阪牛や神戸ビーフの県が上位に入らないのはなぜですか?
「有名なブランド牛の名前」と「頭数が多い産地」は別物だからです。たとえば神戸ビーフのもとになる但馬牛の兵庫県は、頭数ではTOP10の10位です。頭数の多い鹿児島・宮崎などは「子牛の供給基地」として産業を底支えし、ブランド産地はその子牛を仕上げて高付加価値を生む——という分業構造になっています。
Q3. 「和牛」と「黒毛和牛」は同じ意味ですか?
厳密には違います。和牛には4品種ありますが、黒毛和種が約98%を占めるため、実態としては「和牛=ほぼ黒毛和牛」と考えて差し支えありません。産地ランキングの話も基本的に黒毛和種が中心です。
Q4. 牛1頭の利益はいくらですか?
いまの相場では、繁殖も肥育も「1頭あたりの利益はほとんど残らない」水準です。繁殖経営は、子牛の平均売買価格84万3,600円(令和8年度第1四半期)に対して、全算入生産費が約85万円(令和6年)とほぼ同水準で、労働費を含めない物財費ベースでようやく利益が残る計算。統計でも、和牛肥育牛は売値128万9,233円に対し生産費137万5,264円で、1頭あたり約8万6,000円のマイナス(令和6年統計)。「和牛は高く売れる」ことと「儲かる」ことは別の話です。計算の中身は牛1頭の価値と損益分岐点──「赤字牛」を見抜く経営術にまとめています。
Q5. 牛は1頭いくらで売れますか?
「どの段階の牛か」で5倍以上変わります。生まれたての初生牛(ヌレ子)は、ホクレン(北海道)の家畜市場の2026年7月の価格で、黒毛和種のオスが約49万8,000円、ホルスタインのオスが約9万4,000円。セリに出る子牛(素牛)は黒毛和種84万3,600円、交雑種46万1,400円、乳用種24万8,600円(2026年4〜6月)。肥育を終えた出荷牛は和牛去勢A-5で約137万円、乳用種去勢B-2で約58万円です。段階別・品種別の一覧は牛は一頭いくら?子牛84万円・肥育牛129万円の最新相場に並べてあります。
Q6. 日本の5大ブランド牛は?
「5大ブランド牛」に公的な定義や国の指定はありません。銘柄牛は各産地の推進協議会などが独自に基準を定めており、「三大」「五大」といった括りは媒体ごとに顔ぶれが変わります。一般に例として挙げられることが多いのは、松阪牛・神戸ビーフ・近江牛・米沢牛・前沢牛あたり。ただしこれはあくまで通称としてよく挙がる例であって、序列や公式ランキングではありません。そして本記事のとおり、ブランドの知名度と飼育頭数の多さは一致しません。
Q7. 牛の飼育頭数の世界ランキングは?
本記事では扱いません。国際比較はFAO(国際連合食糧農業機関)のFAOSTATが一次統計になりますが、執筆時点(2026年9月7日)に一次データを直接確認できなかったため、数字を載せない判断をしました。二次情報の孫引きで順位や頭数を書くと、集計年や「牛」の定義(水牛を含むかどうか等)の違いで簡単に食い違います。国際比較が必要な場合はFAOSTATで対象年と品目定義を確認してください。本記事は農林水産省「畜産統計」に基づく日本国内の都道府県別の話に絞っています。
まとめ──産地の実力は「数」だけでは測れない
黒毛和牛の飼育数1位は鹿児島県。これは揺るぎない事実だ。しかし、飼育数が多いことと、ブランド力が高いこと、農家が豊かであることは、必ずしも同義ではない。
数が多い産地は「子牛の供給基地」として日本の和牛産業を底支えし、名の知れたブランド産地はその子牛を「仕上げる」ことで高付加価値を生んでいる。この分業構造を理解することが、和牛産業を正しく見る第一歩だ。
飼育数という冷厳な数字の向こうに、農家の汗と工夫と誇りがある。産地を訪ねるたびに、そのことを実感させられる。
参考資料・出典
- 農林水産省「畜産統計調査」https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/tikusan/index.html
- 農林水産省「肉用牛をめぐる情勢」https://www.maff.go.jp/j/chikusan/shokuniku/lin/index.html
- 農林水産省「畜産をめぐる情勢」https://www.maff.go.jp/j/chikusan/kikaku/lin/l_hosin/index.html
- 農林水産省「畜産統計(令和8年2月1日現在)」(令和8年7月28日公表) https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/tikusan/pdf/tikusan_26.pdf ― 肉用牛の飼養戸数3万1,800戸・飼養頭数247万3,000頭・肉用種175万5,000頭、および前年(令和7年2月1日現在)の259万5,000頭・185万1,000頭(2026年9月7日確認)
- 国際連合食糧農業機関(FAO)「FAOSTAT」 https://www.fao.org/faostat/ ― 牛の飼養頭数の国際比較の一次統計(2026年9月7日時点で本記事では数値を採用していない)
あわせて読みたい
─ 産地直送・目利き保証 ─
🏮 さんぼう君の新鮮市場
現場を知る大将が「間違いない肉と野菜」だけを並べました。肉のふるさと納税・お取り寄せ・野菜定期便 →
─ さんぼう君よりひとこと ─
この記事は、和牛農家の息子としての経験と、飼料営業として全国の現場で見聞きしたことに基づいています。 個別の経営判断は、必ず担当の税理士・士業・JA・農業委員会等にご相談ください。
─ さんぼう君のおすすめ本 ─
※ 一部リンクはアフィリエイトリンクです(PR)